【現場の風】アサヒグループ食品 介護食刷新、おいしさにこだわり

アサヒグループ食品ベビー&ヘルスケアマーケティング部担当副部長・峰尾孝さん(三尾郁恵撮影)
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 ■アサヒグループ食品 ベビー&ヘルスケアマーケティング部担当副部長・峰尾孝さん(54)

 --アサヒグループ食品が介護食に力を入れる背景は

 「高齢化が進む中、前身の和光堂がベビーフードの技術を生かせる市場ということで2001年に介護食事業に参入した。売り上げは右肩上がりだったが、品ぞろえに統一感がなくなってきたので、昨秋に『バランス献立』というブランドへ全面リニューアルしたところ、出荷ベースで前年比170%くらい伸びている」

 --新ブランド好調の要因は

 「現在33品目のラインアップで、日本介護食品協議会が制定する『ユニバーサルデザインフード』の規格に基づき、かむ力に応じて『容易にかめる』『舌でつぶせる』など分かりやすく4区分した。バランス良く栄養を取れているか不安の声も多いので、パッケージに使われている食材も表示した。『鯛雑炊』や『かに雑炊』に人気がある」

 --消費者の反応は

 「『思っていたよりおいしい』という感想が多い。介護食というと『機能はちゃんとしているが、その分、味は追いついていない』と思われがちだが、代理で購入された方から『食べさせたら、ぺろっと食べてしまった』との声も寄せられている。ペースト状でも『この料理の味だ』と分かる味づくりにこだわった」

 --味は良いのに介護食の存在自体が知られていない

 「介護専門職を通じて施設を退所するときや在宅で回られる際に高齢者へサンプルを渡してもらったり、介護商品の展示会で試食会を開いたりしている。広告で買ってもらえる商品ではないのが難しいところだ」

 --今後の商品展開は

 「ドラッグストアなどの介護食売り場も限られており、単純に数を増やしてもしょうがないので、ニーズの高い分野を見極めて、商品を追加していきたい」

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【プロフィル】峰尾孝

 みねお・たかし 東京農工大卒。食品メーカーで商品開発、食品衛生コンサルティング会社で工場点検などに従事し、2008年、和光堂(現アサヒグループ食品)入社。生産部の品質管理担当課長を経て、14年にマーケティング部配属。16年から現職。東京都出身。