自動運転、高度な技術に到達 対象地域絞り早期サービス実施も (3/4ページ)

日産自動車とDeNAが自動運転車を使った配車サービスの実験開始を発表し、走行デモンストレーションが行われた=2月23日、横浜市
日産自動車とDeNAが自動運転車を使った配車サービスの実験開始を発表し、走行デモンストレーションが行われた=2月23日、横浜市【拡大】

 自動車各社がAIを導入するのは、どこでも走れる自動運転を実現するのに、数え切れないほどの交通環境のパターンに対応しなければならないからだ。これに対し、群馬大は対象地域を限定して詳細な地図データを作り込み、衛星利用測位システム(GPS)やセンサーを組み合わせることで自動運転を可能とした。

 自動運転バスを切実に必要としているのは過疎化が進み、人手不足が深刻な地域だ。群馬大の取り組みが成功すれば、こうした地域には朗報となりそうだ。

 世界中から観光客が訪れる2020年東京五輪・パラリンピックに合わせて地域限定のサービスを実施し、自動運転技術を広くアピールしようとする動きもある。

 自動運転技術ベンチャー企業のZMPは、五輪会場となる東京・有明やお台場、羽田空港などで無人タクシーを運行させるため、市販車にセンサーやカメラを取り付けて改造し、自動化した車両をタクシー会社に販売する計画だ。

 谷口恒(ひさし)社長は「五輪ではデモで終わらせず、無人運転による商用化サービスを提供したい。無人化で人件費を削減することが普及につながる」と話す。ただ、現行の道路交通法は、運転席にドライバーが座っていることを前提としている。無人タクシーの料金設定など、新しい課題も出てくる。

 完全自動運転を「レベル5」と位置づけた米運輸省の5段階の区分でみると、現在実用化されている自動運転の多くは「2」に相当する。運転の主体が車となる「3」以降をにらみ、官民が足並みをそろえて環境整備を進める必要性がある。

異業種参入に危機感