宇宙産業支援で新ファンド 日本政策投資銀行、民間金融機関と共同で設立検討へ

インタビューに応じる日本政策投資銀行の渡辺一社長=東京都千代田区
インタビューに応じる日本政策投資銀行の渡辺一社長=東京都千代田区【拡大】

 日本政策投資銀行の渡辺一社長は7日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、成長が見込まれる宇宙産業を後押しするため将来的に民間金融機関と共同でファンド設立を検討する考えを明らかにした。政府は国内宇宙産業の市場規模を2030年代早期に2兆4000億円まで倍増させる目標を掲げており、政府系金融機関として資金面で協力する。

 「リスク査定の技術が上がれば、(民間銀行と)ファンドを一緒に作ることもあるかもしれない」。渡辺氏はこう述べ、宇宙開発のベンチャー企業に対する投融資拡大に意欲を示した。

 渡辺氏は宇宙産業について、民間がリスクを背負って投資できるほど産業として成熟していないとの認識を示す。ただ、今後は政投銀が率先してリスクマネーを供給することで民間に融資を呼び掛け、将来的にファンドを作るなど継続的に投資できる環境を作りたい考えだ。

 政投銀にとって、航空宇宙産業はヘルスケアや通信分野などと並ぶ新たな注力分野の一つ。昨年4月には投融資規模を拡大するため航空宇宙室を設置。同5月には宇宙航空研究開発機構(JAXA)と提携し、投融資に向けた宇宙関連技術の評価を進めている。

 後押しするのが政府の動きだ。今年3月には宇宙ベンチャーの育成に向け、官民合わせて5年で約1000億円のリスクマネーを供給することを柱にした政策パッケージを発表した。政投銀は資金の出し手として期待さており、宇宙分野での存在感が今後高まりそうだ。(田辺裕晶)