西日本豪雨でSLが…津和野の観光ピンチ 山陽線寸断で「やまぐち号」山口線に戻れず

JR津和野駅に到着した「SLやまぐち号」=2017年3月、島根県津和野町
JR津和野駅に到着した「SLやまぐち号」=2017年3月、島根県津和野町【拡大】

  • SLやまぐち号の運行区間
  • JR長門峡駅近くの鉄橋を走る「SLやまぐち号」と集まった大勢の鉄道ファン=3月、山口市

 西日本豪雨の影響で、山口県と島根県を結ぶJR山口線の観光列車「SLやまぐち号」の運休が続いている。山陽線が寸断され、客車をけん引する蒸気機関車(SL)が、回送中だった広島市などから戻れなくなったためだ。

 「案内窓口を訪れる人はほぼ半減です」。終点・津和野駅がある津和野町観光協会の金子成一郎事務局長は窮状を訴える。町は豪雨で大きな被害はなかったが、駅前の飲食店「みのや」の生垣真由美店長は「通常の土日に比べ7月の売り上げはほぼ半分しかない」と明かした。

 やまぐち号は町にとって重要な観光資源だ。今年は3~12月の土日を中心に新山口(山口市)-津和野間を1日1往復する計画で、昨年9月以降、津和野行きは5両の客車が毎回ほぼ満員の状態だった。

 JR西日本によると、7月上旬の豪雨発生時、やまぐち号をけん引するSL2台のうち、車軸に不具合があった主力のC57形は修理のため京都市の車両基地に入っており、もう一方のD51形も北陸線を走る別の観光列車に活用するため広島市内を回送中だった。JR山陽線は土砂崩れなどの影響により現在、広島県の三原-海田市間と山口県の柳井-下松間が不通となっており、2台は山口線に戻れない状態が続いている。

 観光客の減少を食い止めようと津和野町などは1日から、対象施設に泊まった家族連れの小学生以下2人までを無料にし、さらに千円分の商品券も渡す対策を始めた。商工観光課の藤山宏課長は「まだまだ策は緒についたばかり。どれくらい客足が戻ってきてくれるか…」と気をもんでいる。