東京巡りの代名詞「はとバス」が設立から70年を迎えた。バスガイドの案内で都心を中心に回る「東京観光」はこれまでに延べ5000万人以上が利用。近年も話題のスポットが次々と登場し好調な客足が続く。2020年の東京五輪・パラリンピックが一段と追い風になりそうだ。
はとバスの歴史は戦後東京の歩みと重なる。前身会社「新日本観光」が設立されたのは、戦後の経済復興が本格化し始めた1948年。翌年、5人のガイドを初めて採用して定期観光バスの運行を始めた。車体にあしらったハトのマークに合わせて社名を「はとバス」に変更したのが63年だ。
JR東京駅丸の内口。乗降場所に並ぶ黄色いバスが、赤れんがの壁に映える。はとバスは人目を引くよう79年以降に導入した車両から黄色で統一。コースも時代時代で趣向を凝らし、浅草や東京タワーを巡る定番に加え、怪談を聞くコースや、新宿・歌舞伎町のホストクラブを明朗会計で楽しむコースなどユニークな企画を打ち出してきた。
東京観光の年間利用者数が最も多かったのは65年6月期で約123万人を記録した。64年に開催された東京五輪の効果で、大会の会場となった競技場などを巡るコースに観光客が押し寄せた。