「人工知能(AI)の“民主化”」に挑むベンチャー企業が登場してきた。東大発ベンチャー、エッジインテリジェンス・システムズ(EIS、東京都渋谷区)はパソコンやスマートフォンなどに標準搭載されているウェブブラウザー上で画像・音声認識を世界最速で実行できるシステムを開発。大企業だけでなく、ベンチャーや個人など誰もがAI技術を活用できる環境整備に乗り出した。一方、ファイナンスとITの融合をビジネスチャンスととらえるフィンテックベンチャーの財産ネット(同)はAIを使ってプロの資産運用術を一般投資家に届ける。
スマホで簡単に活用
タブレットのカメラで撮影したネコと葛飾北斎の「富嶽三十六景」という2枚の写真が画面上で、あっという間に重なり合った。見るとネコの体形に沿ってきれいに「波」が移動し、背景には「三十六景」が残っている。AIが画像を認識して合成しているという。
この写真を作り上げた中核技術が、EISが開発した「WebDNN」。データから特徴を抽出してパターンを高速で認識できるように設計した。共同創業者取締役の日高雅俊氏は「インターネットでデータをサーバーに送ることなく、手元で瞬時に作成できる。WebDNNは複雑な計算を世界最速でこなせるからで、高価で一般には使えない大型コンピューターを不要にした」と説明する。