「AI民主化」、挑むベンチャー企業 一部が使える“特権”、誰もが使えるものへ (1/3ページ)

エッジインテリジェンスが開発したWebDNNを使ってタブレット上で2枚の写真を即座に1枚に画風変換した
エッジインテリジェンスが開発したWebDNNを使ってタブレット上で2枚の写真を即座に1枚に画風変換した【拡大】

  • WebDNNの実用化に向け技術開発に励むエッジインテリジェンスの共同創業者取締役の日高雅俊氏(左)と木倉悠一郎氏

 「人工知能(AI)の“民主化”」に挑むベンチャー企業が登場してきた。東大発ベンチャー、エッジインテリジェンス・システムズ(EIS、東京都渋谷区)はパソコンやスマートフォンなどに標準搭載されているウェブブラウザー上で画像・音声認識を世界最速で実行できるシステムを開発。大企業だけでなく、ベンチャーや個人など誰もがAI技術を活用できる環境整備に乗り出した。一方、ファイナンスとITの融合をビジネスチャンスととらえるフィンテックベンチャーの財産ネット(同)はAIを使ってプロの資産運用術を一般投資家に届ける。

 スマホで簡単に活用

 タブレットのカメラで撮影したネコと葛飾北斎の「富嶽三十六景」という2枚の写真が画面上で、あっという間に重なり合った。見るとネコの体形に沿ってきれいに「波」が移動し、背景には「三十六景」が残っている。AIが画像を認識して合成しているという。

 この写真を作り上げた中核技術が、EISが開発した「WebDNN」。データから特徴を抽出してパターンを高速で認識できるように設計した。共同創業者取締役の日高雅俊氏は「インターネットでデータをサーバーに送ることなく、手元で瞬時に作成できる。WebDNNは複雑な計算を世界最速でこなせるからで、高価で一般には使えない大型コンピューターを不要にした」と説明する。

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