とはいえ、日本ではNTTドコモがシステムを開発した「おサイフケータイ」が先行普及している。NTTドコモは、携帯電話による決済インフラを普及させようと、他社にシステムをライセンス提供したことが奏功。おサイフケータイの強みは、電子マネーとしての利用だけでなく、乗車券・チケット購入、会員証機能などさまざまな用途に使われていることだ。
MMD研究所のスマホ決済の利用動向調査によると、最も利用している決済サービスは(複数回答可)、おサイフケータイの「楽天Edy(エディ)」が18.5%で、「モバイルSuica(スイカ)」と「iD」が続く。一方、QRコード決済は、先行している「楽天Pay(ペイ)」ですら9.5%、「LINE Pay」も7.7%で、認知度はそれほど高くない。
とはいえ、QRコードは自動車部品大手のデンソーが開発した日本発の技術。訪日観光客向けに導入店舗が拡大していけば、決済業者間のサービスのさらなる向上が期待できる。
国はQRコードの伸びしろがあるとみており、経済産業省は7月3日、産官学の連携組織「キャッシュレス推進協議会」を設立。消費者や店舗の利便性を高めようと、QRコードの規格統一を目指す。成否の鍵は、業界や官民を越えた連携を深め、普及施策を早急に実施できるかにかかっている。(鈴木正行)
■QRコード 白黒のモザイク模様で四角形のコード。自動車部品大手デンソーの事業部(現デンソーウェーブ)が平成6年に開発。従来のバーコードが横方向(1次元)にしか情報を持たないのに対し、縦と横(2次元)に情報を入れられるため、数字だけでなく、英字や漢字など多くのデータ(数字のみで最大約7000字)を収容できる。QRはクイック・レスポンスに由来し、データを瞬時に読み取れるのも特長だ。