【就活ルール】人気企業に人材集中? 「廃止発言」企業は賛否

 経団連の中西宏明会長が新卒採用のルール廃止を表明したことに、当事者となる企業側の意見は割れている。経団連の新卒採用ルールがなくなれば、優秀な人材の獲得にプラスに働くとする声がある一方、人気の高い大企業ばかりに優秀な人材が集まり、知名度の低い企業の採用が一段と難しくなるとして、廃止を不安視する意見も目立った。

 廃止方針を評価する意見が挙がったのが、経団連非加盟の外資系やIT企業と学生を奪い合う商社やメーカー。大手商社の担当者は「ルールに縛られると人材獲得競争に勝てない」として廃止に期待感を示した。年間を通じて応募を受け付ける「通年採用」を検討している化学大手の三菱ケミカルも撤廃を歓迎。自動運転でIT大手と人材争奪戦を繰り広げる自動車業界からは、「不公平が解消されればプラス」(大手)と、好意的な意見も出ている。

 一方で撤廃を疑問視する声も目立つ。大手建設会社の関係者は「知名度の高い人気企業に人材が集中し、今まで以上に人が集まりにくくなる」と批判。大手金融機関の担当者は、ルールの廃止で、企業が前倒しで採用に着手するようになれば「学生の学業がおろそかになる」と、反発した。

 中小企業への影響はどうか。中小の多くは欠員が出ると経験者を補充するのが実態で、油圧機器製造を手がける今野製作所(東京都足立区)の今野浩好社長は「求められる人材が違う」として、経験者重視の採用を続ける考えを示した。