【視点】中小企業の危機的な人材「四重苦」問題 家族経営の柔軟性で解消を (1/3ページ)

「金の卵」という概念も、昔と変わり始めているようです(鈴木健児撮影・写真と本文は関係ありません)
「金の卵」という概念も、昔と変わり始めているようです(鈴木健児撮影・写真と本文は関係ありません)【拡大】

 少子化で大企業でも大変な時代に、中小企業の人材確保は困難を極める。新卒、中途の採用難に加え、シニア活用ものりしろがなく、離職率も高い四重苦に陥っている。「首都圏の地場スーパーが新規出店を計画したが従業員が集まらなかった」(リクルートワークス研究所)、後継者不在で「黒字状態で廃業した企業が50.5%」(中小企業白書)など会社存続に関わる経営リスクに浮上。国内企業の9割を占め、産業構造の根幹を担う中小の実態に、日本商工会議所の三村明夫会頭は「まさに、ここにある危機」と強い警戒感を示す。(フジサンケイビジネスアイ編集委員・大塚昌吾)

 リクルートワークス研究所の調査では、来春卒予定の中小企業(従業員300人未満)の大卒求人倍率は、過去最高の9.91倍(全体は1.88倍)。2017年度の新卒.中途採用実績比率をみても中途が76.7%と依存度が高いうえ、このうち未経験者が44.1%を占める。「大企業に入れない学生も採用力のある大手のグループ企業に流れ、中小までが行き届かない」(古屋星斗研究員)。

 日商の調査(16年)では7割以上の企業がすでに65歳超まで雇用延長しているほか、政府の雇用動向調査(16年)では離職率も12.6%で大企業を上回り、厳しい実態が伺える。

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