【現場の風】「はやぶさ2」搭載カメラ開発で貢献


【拡大】

 □立教大学理学部物理学科教授・亀田真吾さん(39)

 --宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ2プロジェクト」に参加している

 「探査機『はやぶさ2』に搭載された光学航法カメラの開発チームに加わり、研究室の学生らと一緒になってカメラの感度などを調べる性能試験を担った。JAXAが8月、小惑星『リュウグウ』に10月下旬に初めて着地する予定だと発表したが、カメラで表面を撮影し、岩塊が少なく平らな場所を選定できたからだ。着地点を決めたのはカメラということだ」

 --撮影で分かったことは

 「小惑星の形も分かっていなかったが、形状は予想外のコマ型(ひし形)で球に近いことが分かった。また、小惑星に衛星がないことも判明した。発見できなかったことは残念だが、探査機と衝突する危険を回避できた。存在しないことを確認できたため、岩石などサンプルを持ち帰るための探査機の着地、地表で調査する小型ロボットの投下運用が行える」

 --学生を参加させた理由は

 「開発に携わったカメラが宇宙へ行くという体験は、学生にとって、かけがえのない学びの機会となる。宇宙開発は特殊な世界というイメージがあるが、『自分にもできることがある』と実感できるチャンスだと思った。参加した学生も頑張り、発生したトラブルを克服し成果も上げた。大学ではJAXAとの連携講座『宇宙科学技術講義』が始まる。宇宙科学の研究職に進んだり、宇宙産業関連企業に就職したりする人材の育成が狙いだ」

 --次のプロジェクトは

 「2024年打ち上げ予定の火星衛星探査計画『MMX』の開発に加わる。サンプルを持ち帰る計画で、搭載されるカメラの開発主任を務める。画素数を増やすなど劇的にグレードアップし、分解能を20倍高める考えだ」

                   ◇

【プロフィル】亀田真吾

 かめだ・しんご 2002年東京大学理学部卒。07年同大理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究員を経て11年立教大学理学部准教授、18年4月から現職。東京都出身。