【埼玉発 輝く】ラグビー用ホイッスル製品化、W杯採用に夢 小柴製作所 (1/5ページ)

 埼玉県南西部に位置し、人口約11万4000人を擁するふじみ野市。同市のホームページ(HP)では、「都心から30キロの首都圏に位置しながらも、豊かな自然が残り、交通の利便性を生かした商品流通業や首都近郊農業などが盛んなまち」と紹介されている。そこに1980年創業、社員9人の町工場・小柴製作所がある。大手楽器メーカーの下請けとして、主にサックスやフルートなど楽器の部品加工を手がけてきた。

最終工程である刻印作業を行う小柴一樹取締役=埼玉県ふじみ野市(大楽和範撮影)

最終工程である刻印作業を行う小柴一樹取締役=埼玉県ふじみ野市(大楽和範撮影)

 初の自社製品へ

 同社の小柴四郎社長は、「会社を設立してから、いずれは自社製品をつくりたいと思っていた」と振り返る。そんな矢先、小中学生にラグビーを教えている従業員が、「チームのスタッフから『楽器の部品の加工をしているんだよね。ラグビー用のホイッスルをつくれない?』と聞かれた」と打ち明けられた。

 その一言に、技術屋としての血が騒いだのが、ホイッスルの開発を担当した小柴一樹取締役。社長の長男だ。「ホイッスルは楽器と同じで音がポイント。会社が長年蓄積したノウハウや、楽器に使われる素材『真鍮(しんちゅう)』の加工技術も生かせるのではないか」と考え、2年前から実際に手を動かして試作を始めた。

 国内外のメーカーのホイッスルを集め、ばらして構造を研究。半年後、試作品が完成した。「吹いた息が抜けて、音が頼りなかった。これでは100円ショップの笛の方がよっぽどいい」。開発当初は従業員と一緒に楽しくつくっていたのに、結果は全く出ず「『少し甘くみていたかも』と現実を突きつけられた思いがした」と当時を思い返す。

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