【リーマン危機10年(5)】ウオール街、金融変革の波 主戦場はフィンテックに移行 (1/3ページ)

米ニューヨークのNYSEで取引するトレーダー。米市場はリーマン・ショックから10年で、劇的な復活を遂げた=15日(AP)
米ニューヨークのNYSEで取引するトレーダー。米市場はリーマン・ショックから10年で、劇的な復活を遂げた=15日(AP)【拡大】

 リーマン・ショックの震源地となった世界の金融センター、米ウォール街。8月末のニューヨーク証券取引所(NYSE)では、トレーダーたちがコンピューター端末の周りに集まり、変動する株価に目を光らせていた。

 復活の“象徴”引退

 米市場は好調な企業業績を支えに、株価が過去最高値圏で推移。「金融危機から10年で、信じられないほどの復活を遂げた」。30年以上のキャリアを持つ熟練トレーダー、クアトロM証券のピーター・タックマン(60)はこう感慨を吐露した。

 2008年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻の原因となった「サブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)」問題が顕在化したのは07年。それ以降、「3年間はトレーダーとして、お金を稼ぐことができない厳しい時代だった」と振り返る。トレーダー仲間は何人も生活の糧を求めて職場を去ったという。

 好景気の恩恵を受け、米金融大手は業績を大幅に改善させている。08年の危機に際し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)から救済を受けたモルガン・スタンレーは、今年4~6月期の最終利益が前年同期より39%増加。ゴールドマン・サックスも4~6月期の最終利益が40%増加した。

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