原発再稼動、電力各社に「司法リスク」の重荷 (1/2ページ)

伊方原発=愛媛県伊方町
伊方原発=愛媛県伊方町【拡大】

 広島高裁は四国電力の異議を認め、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は再び運転可能な状態となった。政府は国の原子力規制委員会の審査に合格した原発の再稼働を進める方針だが、この先も全国各地で「司法リスク」が顕在化すれば再稼働の道筋は停滞しかねず、電力会社の経営にも負担となりかねない。

 四国電力伊方原発3号機の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定を不服とした四国電の申し立てによる異議審で、同高裁(三木昌之裁判長)は25日、異議を認め、再稼働を容認する決定を出した。東京電力福島第1原発事故後、高裁段階で初めて原発の運転差し止めを命じた昨年12月の決定を取り消した。四国電は3号機を10月27日に再稼働させる方針を明らかにした。

 「妥当な決定をいただいた。伊方3号機は四国における安定的かつ低廉な電力供給を支える基幹電源だ」

 広島高裁の決定を受け、四国電は25日にこうコメントした。伊方3号機が再稼働すれば、火力発電所の燃料費負担が減るため月35億円の収益改善効果がある。

 ただ、住民らによる伊方3号機の運転差し止めの仮処分の申し立ては、高松高裁や山口地裁岩国支部、大分地裁などでも係争中で、大分地裁は28日に決定を出す。

 広島高裁の決定があっても四国電が司法リスクと無縁となったわけではない。

 他の電力会社にとっても人ごとではない。関西電力大飯原発3、4号機(福井県)をめぐっては名古屋高裁金沢支部が7月、運転差し止めを認めた1審福井地裁判決を取り消し、両機の運転を認めたばかりだ。

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