【短観・識者談話】農林中金総合研究所・南武志主席研究員「景況感頭打ちも」

農林中金総合研究所、南武志主席研究員
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 農林中金総合研究所 南武志主席研究員の話「景気自体が転換点に近づいていることを示唆する内容だった。業況判断指数(DI)そのものはまだ高く、経営者の景況感は決して悪いわけではない。だが、米中貿易摩擦の影響で輸出が伸び悩む中で、景気の推進力は乏しく、景況感がすでにピークアウトした可能性も否定できない。

 米中貿易摩擦が今回の短観に及ぼした影響は軽微だが、今後中国の輸出鈍化が明確になれば、拠点を持つ日本企業に影響が出るのは不可避だ。日本の輸出車への追加関税措置にも警戒感は残る。景気が伸びるには内需喚起しかない状況だ。

 もっとも、頻発する自然災害は消費の抑制に働いたとみられる。人手不足によるコスト上昇も先行きの懸念要因だ。設備投資は高い伸び率だったが、上方修正の余地は小さい。東京五輪前の来年にはピークを迎える見通しで、今後は先送りの動きなどが出る可能性もある」