ファストリがダイフクと物流で包括的な提携 全世界の拠点を自動倉庫化 1千億円規模を投資

物流面での提携会見後に握手するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(左)とダイフクの下代博社長=9日、東京都江東区(平尾孝撮影)
物流面での提携会見後に握手するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(左)とダイフクの下代博社長=9日、東京都江東区(平尾孝撮影)【拡大】

  • 提携を発表したファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(中央左)とダイフクの下代博社長(同右)=9日午後、東京都江東区

 カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは9日、保管・搬送システム最大手のダイフクと、物流面での包括的な提携で合意したと発表した。ファストリはすでに東京・有明の新倉庫で、ダイフクの技術を活用して自動倉庫化を実現。このノウハウをファストリの各拠点に広め、全世界規模での物流効率化を図る。

 同日、東京都内で会見したファストリの柳井正会長兼社長は、「すでにグローバル展開しているダイフクと提携することで、全世界の物流拠点を早期に自動倉庫に切り替えていく」と、語り、早ければ3年程度で完全に切り替える意向を示した。

 有明の倉庫では10月から、ネット通販製品の出荷などでの本格的な自動化が始まった。RFID(無線自動識別)技術を活用することで、検品や在庫管理を完全に自動化したほか、商品の内容量にあわせて配送箱の容積を適正に変えていく装置などを導入。このため、人手を必要とするのは商品を箱に詰める「ピッキング」のみで、これまで100人必要だった倉庫担当者を10人に削減するなど、大幅に生産性を向上した。

 今回の提携によって、同様の自動倉庫への切り替えを全世界で進める方針で、すでに中国、タイ、米国などで着手した。今後、全世界で約1千億円を投じる。

 ファストリはこれまでの製造小売業(SPA)を発展させる概念として「情報製造小売業」を打ち出し、ビジネスの転換を図っている。顧客データや各種情報の活用によって、「消費者が求めているものだけを作り、最適な形で届ける」とするもので、高い顧客満足度を実現すると同時に、働き方改革も進めた効率のよい経営を目指す。今回も、情報製造小売業の実現に向けた物流改革と位置づけている。