EU離脱迷走、日本企業の英戦略どうする 工場生産停止や物流網見直し必至 (1/2ページ)

イギリスのEU離脱の動きに抗議し、国旗をあしらった旗を振る人=11日、英ロンドン(ロイター)
イギリスのEU離脱の動きに抗議し、国旗をあしらった旗を振る人=11日、英ロンドン(ロイター)【拡大】

 英国の欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」が現実味を帯びる中、現地に拠点を置く日本企業には警戒感が広がっている。

 欧州での自動車生産の一大拠点である英国で、トヨタ自動車は昨年、小型車「オーリス」など約14万台を生産した。しかし同社の英国工場は、合意なき離脱で通関手続きが必要になれば部品供給が滞り、24時間以内に生産停止に至る見通しだ。トヨタ生産方式では、緻密な計画で部品の在庫を必要最小限に抑えているため、供給が途絶えると生産を続けられなくなる。年約50万台を生産する日産自動車も「急な貿易システムの変更は、英国の産業に対し深刻な影響を与える」と懸念を強めている。

 電機大手では、日立製作所が離脱後の英国とEUとの間の関税の行方に気をもむ。2015年に開設した英北部の鉄道車両工場から欧州各国への輸出を想定しているが、関税が課せられれば競争力の低下は必至。日立はイタリアの傘下メーカーからもEU圏に販売できるが「2拠点による柔軟な生産体制」(東原敏昭社長)で欧州市場を開拓するという戦略の修正を迫られかねない。パナソニックは今月、欧州本社をロンドンからオランダ・アムステルダムへ移転した。

 ANAホールディングスや日本通運は「荷主の動向を注視している状況」と口をそろえる。ただ英離脱による各社の生産体制見直しで、モノの動きが大きく変わる可能性がある。ドーバー海峡通過にかかる新たな手続きで所要時間も増えれば、物流ネットワークも見直す必要が出てくる。

 金融機関も対応を急ぐ。EU加盟国で金融業の免許を取ると域内で営業できる「単一パスポート」を英国で取得している三井住友銀行。英離脱後も欧州域内で事業を継続するため、独フランクフルトに現地法人を設置し、現地で免許取得の手続きを進める。野村ホールディングス(HD)や大和証券グループ本社など証券大手も、フランクフルトに新会社を設立する。

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