【中小企業へのエール】スーパーマーケット 地域経済を元気にする実店舗


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 □旭川大学客員教授・増山壽一

 先日、全国スーパーマーケット協会60周年記念大会に参加した。

 戦後間もない、高度成長期を目前に控えた時代。「暗黒」といわれ、生産性が低く、社会的に必ずしも地位が高くなかった流通業を発展させたいという熱き思いをもった若き経営者たち。なけなしの金を払って米国へ渡り、セルフサービスという当時としては画期的な販売方法に触れた。

 彼らはやがて「スーパーマーケット」という業態を日本で確立していく。

 それまでは八百屋や精肉店をはじめ、買い物客と店員が対面し、客の注文に合わせて店側が商品を取り出し、包装して販売するのが一般的だった。

 スーパーでは、開店前に小分け包装した商品をきれいに陳列され、商品がなくなれば補充される。買い物客は、おのおの欲しい商品を選んでレジで代金を支払う。この形態は高度成長期の消費者に大いに受け入れられ、急成長した。

 地域にある従来型の中小店舗や商店街は、スーパーが進出すると「昔からの客を根こそぎ奪われる」と恐れおののいた。スーパーなんて焼き畑農業みたいに「スーと出てきてパーと消える。無責任な業態だ」と強く反発する時代も長く続き、それを規制する大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行された。

 数十年前は、全国各地で進出に強い反対を受けたスーパーだが、最近では高齢化や地域経済縮小の中で、撤退を決めると存続の署名活動が始まる。そんな事例が続出し地域経済の中でなくてはならない存在になった。

 また、地震や豪雨、台風などの災害に見舞われた地域で、何日も停電や断水などで苦しい思いをした住民たちにとって、地元のスーパーで生鮮食品が買えるようになることが、いかに人々を元気づけることか。また、そこで働く人、納入業者、生産者や企業すべての協力なくして、毎日の商品供給がなされないことも目にしてきた。

 今は、アマゾンなどインターネットを使った仮想店舗が、ますますシェアを伸ばしている。

 しかし、実際に店舗に品物がある、そこで手に取って購入できる。そんな当たり前の喜びが人間の営みであり、生きる喜びかもしれないと実感する。

 そんな目でぜひ地元のスーパーをのぞいてみてほしい。地域にとって大切なものがきっと見つかると思う。(隔週掲載)

                   

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。17年4月から旭川大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。56歳。