【株式ニューカマー】自社開発システムで保険商品分析


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 □アイリックコーポレーション・勝本竜二社長

 アイリックコーポレーションは、1999年に日本初の来店型保険代理店として、「保険クリニック」の店舗を全国展開している。約20年にわたるノウハウの蓄積と自社システム開発によって保険商品を分析し、顧客に最適な提案をする。9月25日、東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)した勝本竜二社長は、自社開発システムの販売などで、フィンテック企業としての成長を目指す。

 --来店型保険代理店としての強みは

 「高い顧客満足度を維持していることだ。独自に開発した保険分析・検索システムで今加入している保険が顧客に合っているかを分析して、希望に沿った最適な商品を提案する。保険契約の継続率は98%以上と高水準で推移している。現在、直営32店、フランチャイズ(FC)151店の計183店の体制だが、直営店を年間4~6店増やし、FCは2019年6月期中に43店を新たに出店する予定だ」

 --自社開発した保険分析・検索システムの特徴は

 「現在、加入している保険の証券を分析して、グラフなどで分かりやすくビジュアル化して示す。加入者のライフプランについて一緒に考えながら商品を提案する。21社の保険会社とデータ連携し、160商品から顧客の意向に沿った商品を選ぶことができ、申し込み手続きまでできる。6月には人工知能(AI)を搭載したスマートフォン対応の証券分析アシスト機能を開発した」

 --スマホ対応証券分析アシスト機能はどのようなものか

 「保険証券をスマホのカメラで撮影すると、情報が分析され、グラフなどで分かりやすく表示される。このため営業担当者が、顧客先で他社商品について把握することが可能になる。全国の営業担当者120万人を対象に販売を拡大する。それ以外にも異業種から保険業への新規参入が増えると見込まれるため、潜在市場はさらに大きいと思われる」

 --上場の目的は

 「社会的な知名度と信用力を向上させるほか、優秀な人材の確保とともに、社内管理体制を充実するためだ。上場で調達した資金は、システム開発のほか店舗出店に充てる」

 --業績の推移は

 「13年6月期以降、6期連続で増収となっている。経常利益は15年6月期に黒字転換してから、順調に伸びている。19年6月期の売上高は前期比15.9%増の35億8400万円、経常利益は同75.7%増の4億4100万円を予想している」

 --これから事業をどう成長させていくのか

 「出店を拡大することで安定的に収益を伸ばす。保険業界への異業種からの参入が増えているので、支援のためのシステム提供へのニーズも高まるだろう。また、システムを保険業以外にも応用することで、異業種への技術提供も進めていく」

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【会社概要】アイリックコーポレーション

 ▽本社=東京都文京区本郷2-27-20 本郷センタービル

 ▽設立=1995年7月

 ▽資本金=11億8300万円

 ▽従業員=252人(2018年6月末時点)

 ▽売上高=35億8400万円(19年6月期予想)

 ▽事業内容=生命保険コンサルティング、システム販売など

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【プロフィル】勝本竜二

 かつもと・りゅうじ 石川県立金沢錦丘高卒。1982年共栄信用金庫(現・のと共栄信用金庫)入庫。87年アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(現・メットライフ生命保険)入社。90年ファイナンシュアランスを設立し取締役。95年アイリックコーポレーションを設立し取締役、97年12月から現職。54歳。石川県出身。