【高論卓説】京浜工業地帯はラストベルトにならず 「川崎方式」のベンチャー育成 (1/3ページ)

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 さいたま市大宮駅から東京駅を経由して、川崎駅から横浜駅を結ぶJR京浜東北線は、日本有数の京浜工業地帯を貫くように走る。2015年度版大都市データランキングによれば、川崎市は工業分野において、従業員1人当たりの製造品出荷額が1位の9400万円、学術・開発研究機関の従業員数の割合が1位の1.64%で他都市を圧倒している。京浜工業地帯の中核都市は、米中西部と大西洋岸中部地域の「ラストベルト(さびた地帯)」ではない。(東日本国際大学客員教授・田部康喜)

 川崎駅から再開発地区の落ち葉が近い並木道をしばらく歩くと、川崎市産業振興財団はある。設立30周年を迎えた財団は、「川崎方式」と呼ばれる中小企業の支援の拠点である。

 なかでも、「かわさき起業家オーディション」は01年から始まった、ベンチャーや新規事業を発掘する催し。10月5日に開かれた選考会で115回を数える。年に6回もある。応募者から審査委員会が事前に選考し数社が、最終選考会のプレゼンテーションに臨む。主要な賞に賞金はない。金融機関などから、融資を得られたり、ベンチャー支援の団体からエンゼル資金を得られたりする。

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