徴用工訴訟 「事業に障害」経済界憂慮 新日鉄住金敗訴


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 元徴用工訴訟の判決を受け、経団連、日本商工会議所、経済同友会、日韓経済協会は30日、各会長、会頭、代表幹事名で、「日韓経済関係の発展に向けて」とする共同コメントを発表した。席上、日韓経協の是永和夫専務理事は「ここまで築いてきたビジネス関係に水を差さないよう、両国政府は支援してほしい」と訴えた。

 日本による朝鮮半島統治時代に「強制労働させられた」として、元徴用工の韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国最高裁は30日、同社に賠償を命じた2審判決を支持して同社の上告を棄却し、原告請求の全額の計4億ウォン(約4000万円)の賠償支払いを命じる判決が確定した。韓国での戦後補償訴訟で、日本企業への賠償命令が確定したのは初めて。

 コメントは冒頭で、「今後の韓国への投資やビジネスを進める上での障害になりかねない」などと、日本の経済界としての憂慮を表明。「1965年の日韓請求権協定によって、問題が完全に最終的に解決したことを基礎に、日本企業は両国関係の発展に貢献してきた」と強調した。

 その上で、韓国政府に対し、「日本企業の正当な経済活動が保護されるよう、適切な措置」を要望、日本政府にも「あらゆる選択肢を視野に、対応を講じることを強く要望する」とした。