あくまでビジネス ダウン症の店員が運営するカフェが大成功したワケ (2/3ページ)

 同社は政府からデイケアとしての認定を受けているため若干の助成を受けてはいるが、あくまでビジネスとして経営することが企業としてのこだわり。政府からの補助金は完全に分離して管理し、人件費や家賃など経営の必要経費は全てカフェの収益で賄っているという。「2020年までに80店舗」の目標は掲げているものの、サービスの質と従業員へのケアを保つために、事業拡張を第一義とはしない方針だ。

 ◆「教育実習生」が起業

 創業者のテイス・スウィンケルズ氏がこのカフェの構想を得た時には、スポーツ教育を専攻する教員志願者だった。教育実習先が特別支援学校になった時はがっかりしたものの、現場で出会ったダウン症を持つ生徒たちの人懐っこい歓迎に感銘を受ける。卒業後、彼らを含む誰もが「安全に学び、働いてまっとうな賃金を得る」場を作るために、アルバイト経験のあった飲食店を起業した。現在営業中のフランチャイズの中にはB&Bを併設する店舗もあり、2016年には、お店で人気の40種類のケーキの詳細な作り方を、従業員のポートレートと共にまとめたレシピ本も出版。企業は成長を続けている。

 ◆成功の鍵は?

 今回、本社への取材で「事業がここまで成功した理由は何だと考えるか」と尋ねたところ、同社の掲げる「3つのミッション」が答えとして返ってきた。第一に提供する料理へのこだわり。第二に「特別な」店員によるサービス。そして最後に誰もが受け入れられるような家庭的な雰囲気を提供することである。

「ブラウニーズ・アンド・ダウニーズ」の看板メニューであるブラウニー(筆者撮影)

「ブラウニーズ・アンド・ダウニーズ」の看板メニューであるブラウニー(筆者撮影)

 正直なところ、「福祉への意識が高いオランダにおいて、いつものようにカフェでコーヒーを飲むついでに手軽に社会貢献ができる点が受けているのだろう」くらいに考えていた筆者も、それならと最寄りの店舗に出かけてみた。中途半端な時間だったがテラス席も店内もほぼ満席で、メニューの価格帯は横並びの他のカフェと同等か若干お安め。ハイティーやランチメニューも充実しているが、ここはやはり看板メニューのブラウニー(生クリーム付き3.45ユーロ)を注文した。

根底に料理へのこだわり