米グーグルなど世界の巨大IT企業「プラットフォーマー」の規制強化に日本政府が動きだした。これらのサービス抜きでは日々の暮らしも企業活動も今や成り立たないが、便利さの裏には「支配と従属」の構造が潜む。利用者が代替サービスの選択権を狭められ、依存から抜け出せなくなることが最大の問題点だ。
日本一丸で規制強化
GAFA(ガーファ)-。頭文字を並べてこう称されるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムの4社は、世界のデータを寡占的に握る。「消費者や事業者にとって社会経済上、不可欠とも言える基盤を提供する存在」。経済産業省、公正取引委員会、総務省は5日、そろって記者会見し、その社会的意義を認めた上で規制強化に一丸となって取り組む姿勢を強調した。
「規約が一方的に変更されて不利益を受けた」「利用料を値上げされた」。政府がまとめたアンケート結果からは、プラットフォーマーとの力関係の差に悩む中小企業の姿が浮かび上がる。
アマゾンと取引のある食品メーカーの役員は「存在を無視できないが、距離を置いて付き合わないとのみ込まれる」と警戒心をあらわにした。
受け身に回る構図は個人も同じだ。グーグルは一人一人の関心に合わせた検索結果を示して利用者をつなぎ留め、アップルは自社のiPhone(アイフォーン)などでしか使えないアプリを提供して他社に乗り換える障壁を高くする。
データを集め、サービスを改善することで、さらにデータが集積される好循環。アップルの株式時価総額は約113兆円、アマゾンは約92兆円で、約21兆円のトヨタ自動車を寄せ付けない。
データ自主開放観測
各国当局は規制の議論を加速している。欧州連合(EU)は個人データの厳格な保護を求める新規制を5月に導入。プラットフォーマーの透明性確保も促す。今回の日本の動きはこうした流れに追随するものだ。