金融庁は7日、投資信託を購入した顧客の何割が利益を得たかなどを明らかにするため、金融機関向けに定めた「比較可能な共通指標(KPI)」について分析結果を公表した。運用損益別の顧客の割合を開示した36社で単純平均すると、4割の顧客の運用損益がマイナスだった。
含み益のある顧客が9割を超える金融機関がある一方で、3割台にとどまる金融機関もあり、格差が浮き彫りになった。
KPIは金融機関の成績表で▽運用損益別の顧客の割合▽預かり残高上位20銘柄のコストとリターン▽同リスクとリターン-という3つの指標がある。金融庁が毎年3月を基準日に統一の算出方法に基づいて開示を求めている。
含み益のある顧客の割合はトップのコモンズ投信が98%、ひふみ投信などを運用するレオス・キャピタルワークスが91%、セゾン投信85%と続いた。上位3社は大手金融機関系列に属さない独立系で、毎月決まった額の投信を買ってもらう積み立て投資に注力する共通点がある。
一方、あおぞら銀行や三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券は含み益のある顧客の割合が4割を割り込んだが、金融庁は非開示の金融機関がまだ多い中で開示したこと自体を評価しているという。
金融庁は昨年3月、銀行や証券会社に顧客本位の業務運営を促す原則を策定し、金融機関に取り組みを示す指標の公表を求めた。だが、各社が独自に示す指標は算出方法がばらばらだったため、顧客が金融機関の成績を比較しやすくなるよう今年6月に共通指標を設定した。
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■投資信託で含み益のある顧客の割合(3月末時点)
1 コモンズ投信 98%
2 レオス・キャピタルワークス 91%
3 セゾン投信 85%
4 丸三証券 79%
5 野村証券 77%
中略
32 三井住友信託銀行 43%
33 岡三証券 41%
34 関西アーバン銀行 40%
35 三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券 37%
36 あおぞら銀行 32%