新NAFTA、自動車各社は順応 「貿易赤字是正」には警戒感広がる

 トランプ米大統領が対日貿易赤字の是正に改めて言及したことで、輸入車関税引き上げの検討凍結で、徐々に落ち着きを取り戻していた日本の自動車業界に再び、警戒感が広がっている。

 米中間選挙を終えたトランプ大統領が、日本などとの貿易交渉への意欲をにじませている。7日の記者会見では自動車に関する対日貿易の不均衡に言及し、「米国を公正に扱っていない」と改めて不満を表明。野党・民主党が下院で多数派を握る「ねじれ議会」の下でも、貿易赤字是正に力を入れる姿勢を示した。

 日産自動車の軽部博最高財務責任者(CFO)は8日の決算会見でトランプ氏の発言について問われ、「当社としては、なるべく自由にいろんなことができる体制が望ましい」と答え、具体的な見方や対応策については言及を避けた。同社は米国販売の収益性が悪化し、在庫の削減を進めた結果、足元で販売台数を大きく減らしており、“逆風”となる通商政策に追い打ちをかけられるのは絶対に避けたい事態だ。

 一方、北米自由貿易協定(NAFTA)が見直され、新しい「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」では、関税を免除されるのに必要な要件が厳格化される。

 トヨタ自動車と共同で米アラバマ州に新工場を計画しているマツダの古賀亮取締役専務執行役員は「労務費などが上がることは覚悟している。米国での調達を増やすことを前提条件として盛り込み、ビジネスプランを共同で更新しているところだ」と、新協定への対応を進めていることを明らかにした。トヨタの小林耕士副社長は、日本から調達していたハイブリッド車向け部品を順次、現地で生産することを検討していると強調。「米国で仕事をさせていただくには、米国のルールがある」と述べた。

 自動車の2大市場である米国と中国の対立が各社の事業環境を変える懸念も消えない。トヨタのディディエ・ルロワ副社長は「米国と中国との間には、将来にいろいろな不透明感がある」と述べた。(高橋寛次)