がん悪化促すタンパク質を狙い撃ち ガンキルファーマ・藤田潤社長に聞く (1/2ページ)

ガンキルファーマ・藤田潤社長
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 日本人の死亡原因の1位であるがん。そのほぼ全ての種類のがん細胞に、ガンキリン(gankyrin)と呼ばれるタンパク質が高頻度に発現し、がんの悪性化に関与していることがわかってきた。この悪玉のタンパク質を狙い撃ちにする分子標的治療薬の開発に世界で初めて乗り出したのが、10月に発足した京都大学発ベンチャー、ガンキルファーマだ。ガンキリンの発見者でもある藤田潤社長(京大名誉教授)に話を聞いた。

高頻度で発現

 --ガンキリンとは

 「人間の細胞はタンパク質で出来ていて、普通の細胞は分裂・増殖していくために必要なタンパク質を必要な分だけ作り出している。その仕組みはがん細胞も同じで、人から見たら必要のない有害なタンパク質を作っている。その中の一つがガンキリンで、京大教授時代の1998年に肝臓がん治療薬開発の過程で発見した」

 --どんな悪さをするのか

 「人間の体にはP53やRBなどと呼ばれるがんを抑制する遺伝子が備わっているが、ガンキリンはこうした遺伝子を阻害してしまう。いわば、がん抑制遺伝子の殺し屋といっていい。肝臓がん、食道がん、子宮がん、前立腺がん、胃がん、大腸がんなどほぼ全てのがんで、90%以上の高頻度にガンキリンが発現していることが多くの論文で発表されている。さらにがんの特性である転移、侵潤、増殖、抗アポトーシス(自然死)といった働き全てを促進していることもわかっている」

予防にも有効

 --どんな治療薬開発を目指しているのか

 「ガンキリンは通常細胞にはほとんど発現していないので、ターゲットとして優れており、分子標的治療薬を開発していく。分子標的治療薬としては、ガンキリンの発現自体を押さえ込む薬、そしてガンキリンの働きを抑制する薬の2通りを開発する考えだ。外部との連携を通じ、最適なベクター(遺伝子の運び屋)を選定するなどして開発を着実に進めたい。国内、海外にこだわらず研究開発を進める考えだ」

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