大手銀決算、本業が停滞 利ざや低迷し、もうけ0・8%減

 大手銀行5グループの平成30年9月中間連結決算が14日、出そろった。本業のもうけを示す実質業務純益(単体または傘下銀行の合算)は、前年同期比0・8%減の計1兆1178億円。長引く超低金利が経営を圧迫し、苦しいやり繰りが続く姿が鮮明となった。一方、大口融資先の業績回復に伴い最終利益の合計は10・6%増の計1兆6964億円だった。

 日本銀行のマイナス金利により利ざや(貸出金利と預金金利の差)は低迷したままだ。さらに米国の利上げや、夏以降に円金利がわずかに上昇したことで債券が約束する利回りの魅力が相対的に低下し、各行が保有する債券価格が下落。業績に影を落とした。

 一方、マイナス金利導入から2年以上が経過し、利ざやの縮小は底を打ったとの見方もある。これまで低下が続いていた三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下2行の預貸金利回り差は0・83%で、0・01%、わずかにプラスに転じた。

 ただ各行にとって、簡単に利ざやを広げることはできない。預金金利をさらに下げる余地は乏しく、カネ余りの状況では貸出金利を上昇させることが難しいからだ。

 最終利益はシャープ、東芝といった大口融資先の業績回復により、貸し倒れ引当金の戻り益が大きく寄与。全グループで増益となった。ただ、三井住友フィナンシャルグループの国部毅(たけし)社長は「これから戻り益はそれほど出てこない」と述べるなど一時的な要因であるため、来年度はより厳しい決算になる可能性がある。