ローカリゼーションマップ

「先端技術先進国ニッポン」? 外国人の日本賛美に違和感のワケ (2/3ページ)

安西洋之

 やや脱線するが、イタリアの法人の請求書電子化は、巨大な地下経済の撲滅を狙っているのだろうが、ビジネス社会の体質を大きく変えるに貢献するはずだ。

 リーマンショック以降の財政危機において、高額現金取引が禁止される法律が施行され、それまで出自の分からない現金で大きな商売が動いていた不動産ビジネスや宝石店などは打撃を受けた。今度の請求書電子化は、あらゆるところにあった淀んだ水をさらに吐き出すに違いない。

 つまりは、透明度が低いとされた社会がデジタル化すると「伸びしろ」が大きい、との例をつくることになる。

 冒頭の話に戻すと、こういう国に住んでいる人が日本を先進技術先進国と評していたわけだが、ぼくがそこで思ったことが2つある。

 1つ目は、このパネリストのイタリア人は、モノしか見ていない。ソフトウェアの世界にあまり目がいっていない。新幹線が正確に運行できるのはソフトウェアに依存しているわけだが、そのソフトウェアと日本人の生真面目なメンタリティがダブるところばかりに視点が注がれている。システムを構築する力もさることながら、「運用に狂いが出ないようにするのに熱心」とのイメージが頭のなかでくりかえされているに違いない。

 モノの生産における品質管理で「メイド・イン・ジャパン」が高い評価をうけたが、その高いレベルの品質管理がソフトウェアの運用に適用されている。かのイタリア人はそう連想しているはずだ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus