【リーダーの素顔】乃村工藝社社長・榎本修次さん


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 ■空間創造活性化で唯一の存在に

 空間づくりのプロとして乃村工藝社は創業以来、チャレンジ精神で人々に喜びと感動を提供してきた。このDNAを継承・発展させ、「競争の次元を変える」取り組みを加速。2022年度には全ての顧客のオンリーワン・パートナーになる考えだ。その一環として働き方改革を進める。

 --19年度までの中期経営計画は

 「17年度のスタート時に組織を大改革、社員の9割を配置転換した。時代が変わり、事業領域が拡大したためで、従来の市場別の縦割りから機能別に再編。案件の特性に合わせ最適なチームを作れるようにした。専門スキルを持つ社員が縦横無尽に動くことで、新しい価値を創出し続ける組織に変わった。顧客満足も高まっているはずだ」

 --最適チームの編成に向けた取り組みは

 「多種多様なメンバーの交流拠点として、本社内に交流スペース『リセットスペース』を今年6月に開設した。休憩も打ち合わせもできる場所で、互いのスキルを認め合うことで新たな気づきや刺激を得たり、コミュニケーションから新たな創造性が生まれたりする。顧客への提案などで成果も出ており、社員のモチベーションは高まっている」

 --働き方改革にも活用している

 「身体を動かすエクササイズゾーンやくつろげるゾーンなどを設けた。飲食もできる。昼休みにピンポンを楽しむ社員がいたり、夜は懇親会を開いたりしており、社員の心も体もリセットできる空間として活用。生産効率向上にもつながっている」

 --22年度までの長期ビジョンは後半に入った

 「『国内サービス業における働きがいのある企業ランキング10位以内』を掲げた。ものづくり企業は人が全て。生かすのが経営陣であり、そのためにリセットスペースをつくった」

 --オンリーワン・パートナーの実現は

 「空間を創るだけではなく、活性化する空間創造活性化事業でナンバーワンを目指す。この空間活性化をゴールに、『代替がきかない』『乃村しかいない』といわれる存在になる。そのために『顧客満足のためには決してあきらめない』ことに挑戦していく。『お客さまに歓びと感動を提供する』というDNAも譲れない。赤字になっても顧客のために創るのが乃村だ。その環境づくりがリーダーの役割で、考え方は社員に浸透している」(松岡健夫)

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【プロフィル】榎本修次

 えのもと・しゅうじ 1971年中央工学校卒。73年乃村工藝社入社。2002年執行役員、05年乃村リテールアセットマネジメント取締役。乃村工藝社常務取締役などを経て15年5月から現職。東京都出身。

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 ≪DATA≫

 【転換点】アルバイトから中途入社のため「上に行くのは遅れました。だから同期の中で真っ先に役員になる」ことを目指し仕事に励み実現。転換点は新たな事業創造として取り組んだ不動産投資。「リスクと向き合いながら人との折衝などスキルを覚えました」と振り返る。

 【健康法】子供の頃からみこしを担ぐ。今は「会社代表がケガすると大変とみんなに心配され、みこし担ぎはNG」。代わりのウオーキングは3カ月に1回、自宅から会社まで6.5時間。リセットスペースの雲梯(うんてい)でも毎朝運動するが、「前に進むのもなかなか難しい」と苦笑い。