たっぷり寝る社員には報酬 逆転の発想 多様な働き方サポート (1/2ページ)

 政府が働き方改革を進める中、日本企業の従業員の睡眠時間はまだ不足している。東京都墨田区のある企業はこうした状況を打破しようと、夜にたっぷり睡眠を取った社員に報酬を付与するという思い切った福利厚生制度を打ち出した。

最大で年6万4000円

 この会社は、オーダーメードのウエディングを手掛ける「クレイジー」。森山和彦社長によると、同社は今月から「睡眠報酬制度」を導入。6時間以上の睡眠を1週間のうち5日以上取った社員を対象に、報酬として同社の食堂で利用できるポイントを付与する。最大で年間6万4000円相当になるという。寝具メーカー、エアウィーヴの協力も得て社員自ら専用のスマホアプリで睡眠時間を測る。

 制度導入のきっかけは森山社長が1年ほど前に国内広告大手に勤務する友人から、「働きたいけど働けない」と苦しい胸の内を聞いたことだった。当時、その友人の勤め先は女性新入社員の過労自殺を受け長時間労働の改善に取り組む最中だった。友人の「働きたい人の権利が守られていない」という言葉にインスピレーションを受け、労働時間の短縮ではなく報酬によって睡眠時間を管理できたら面白いと発想を逆転させたという。

 日本人の睡眠を取り巻く問題は深刻な状況にある。米シンクタンク、ランド研究所によると、日本の睡眠不足による経済的損失額は国内総生産(GDP)比で2.9%と試算。調査対象となった米国、英国、ドイツ、カナダを含む5カ国中最大となった。損失額としては経済規模が大きい米国がトップで4110億ドル(約46兆3700億円)、日本はそれに続く1380億ドルだった。健康機器メーカーのフジ医療器が今年、20歳以上の男女4303人を対象にした調査では、92.6%が睡眠に対して不満を持っていることが判明した。

 本来、労働時間の管理は社員を守ることが大前提だが、働き方が多様化した現代にそれでは社員を守ることができないと森山社長は指摘する。今回の制度では「いろいろなタイプの人がいる。働き方は多様でいい」とし、強制的にルールとして定めるのではなく、インセンティブ制にすることで多様な働き方をサポートした。

医療費の負担軽減も