ゴーン流、功罪両面先鋭化 すぐれた先見性でV字再建も現場に残る“ひずみ” (1/2ページ)

ゴーン容疑者が主導した再建計画で閉鎖された日産村山工場=東京都武蔵村山市
ゴーン容疑者が主導した再建計画で閉鎖された日産村山工場=東京都武蔵村山市【拡大】

 販売不振による経営危機に陥った日産自動車を「V字回復」させた実績をテコに業績の拡大を追い続けた日産会長のカルロス・ゴーン容疑者。電気自動車(EV)に積極投資しブランドの象徴に育てる一方、ひずみが生産現場にたまり、新車製造の最終工程「完成検査」をめぐる不正が噴き出した。これに続く金融商品取引法違反の疑いによる逮捕で、ゴーン流の功罪両面が先鋭化しつつある。

 2000年に日産の社長に就いたゴーン容疑者。同年3月期連結決算で6843億円という記録的な最終赤字を計上した日産の業績をV字回復に導いただけでなく、商品開発で類を見ない先見性もみせた。

 日産は競合他社が懐疑的だったEVを「次世代エコカーの本命」と位置づけて開発を加速し、10年末には「リーフ」を日本と米国で投入。仏ルノーや三菱自動車を合わせたEV全体の世界販売は今年1月末に累計54万台に達した。日産車の国内販売関係者は「ゴーン氏の嗅覚はすごい。『電動車なら日産』というイメージを広めた」とたたえる。

 同時に、世界で利益を出す車を重んじるゴーン流の弊害も現れた。「日本は世界戦略の一端に成り下がった。切れ目なく話題を提供しないと消費者をひきつけられない」(販売担当者)など、国内向け商品ラインアップの少なさを指摘する声も浮上している。

「リバイバルプラン」の副作用、今も