また解任「プロ経営者」が根付かないワケ (4/4ページ)

プロ経営者を登用することの重要性は高まっていく

 企業経営に関する専門性や経験は、一朝一夕に身につくものではない。組織が大きくなるに伴い財務、コンプライアンス、人材育成をどう進めるかなど経営上の課題は増える。また、IoT技術の普及などによって新興国企業の競争力も高まっている。それは、わが国企業を取り巻く環境変化のスピードが加速化していることを意味する。

 その中で企業が成長を目指すためには、効率的に経営資源を再配分していくことが必要だ。社内にその能力を持つと評価できる人物がいればよいが、企業の戦略決定などには経験が必要だ。他の企業の経営再建や業績拡大などで実績を残した専門家=プロ経営者を登用する企業が増えているのは、ある意味では当然のことだろう。

 また、わが国企業がシェアを拡大するために海外の企業を買収するに伴い、外国人の専門家が取締役などに登用されるケースも増えるだろう。わが国の企業にとって、プロ経営者を登用することの重要性は高まっていくものと考えられる。

経営判断の是非とプロ経営者登用の是非は無関係

 それに伴い、創業者一族や周囲の取締役などとプロ経営者の意見が食い違うケースも出てくるだろう。その一例がリクシルにおけるプロ経営者の解任や、ライザップでの取締役の担当変更だ。両社の経営判断の是非がプロ経営者登用の是非につながるわけではない。また、この2つの企業の判断が、経営にプラス、マイナス、どちらに働くかは時間をかけて考えていくしかない。

 変化のスピードが加速化している中で企業が持続的な成長を目指すためには、専門知識とその実践経験に富む人材の活用が求められていることは冷静に認識する必要がある。プロ経営者の登用は、企業がより長期の視点で成長をめざすための手段の一つだ。

 そうした人材を内部から登用できるよう、各企業が人材育成に取り組む必要もある。その上で、社内外の知見を活かし、わが国の企業がより積極的に新しい取り組みを進め、さらなる成長を目指すことを期待する。

 (法政大学大学院 教授 真壁 昭夫 写真=時事通信フォト)(PRESIDENT Online)