【高論卓説】「優先付けとやらない勇気」を持とう! デキる人の「マルチタスク管理法」とは

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 「山積するタスク(任務)であっぷあっぷしている」「何から手をつければよいかわからない」「残業ができなくなり積み残しが解消しない」…。ビジネススキル演習を実施する中で、このような声に接することが多くなった。マルチタスク管理手法を演習するプログラムの実施ニーズが急増している。(モチベーションファクター代表取締役・山口博)

 働き方改革を推進する中で、業務に充てる時間は限られてきている。業務遂行を担う人手は減り、負荷が高まっている。そのような中、タスクを効率よく遂行するために実施していることを聞くと、生産性の高い人は、スケジューリングをさまざま工夫していることが分かる。

 類似業務は同じ時間帯でまとめて実施する。通勤時間や移動時間にメール確認する、食事をしながら会議をするなど同時並行で実施できる業務は一緒に行う。オフィスと出先を何度も行き来するのではなく、オフィスで実施する業務、出先で実施する業務をできるだけまとめる。出先で実施する業務の移動の効率性を考えてアポイントを取っていったり調整したりする。

 メールはタイトルだけみて優先順位を峻別(しゅんべつ)する。顧客に関わる業務、チーム外のメンバーと関わる業務、チーム内でできる業務、一人でできる業務の順にスケジューリングするというように、優先順位を見極める。

 中には、午後一番くらいの時間に、必ず1時間、空き時間をつくっておいて、午前中の業務の積み残しをそこで解消するという工夫例もあった。いずれも優れた方法で、生産性向上のカギはスケジューリングの巧拙にあるといえる。

 しかし、勤務時間は限られているし、タスクは増える一方で、タスクの種類も多様化している。タスクを見事にさばいて、生産性を上げている人のマルチタスク管理の仕方をみてみると、共通の手法があることが分かってきた。

 それは、その日やその週に行う業務について、「その期間に実施しない業務」「相手のアクションを待ってから行う業務」をその順に峻別し、残った業務を「自分で行う業務」として位置付けてスケジューリングして実施しているということだ。

 私はこれを、「Under the Table」「Waiting」「Action」の3つの視点でタスクを峻別してスケジューリングする手法をモデル化して演習している。2時間演習すると、多くの人がスケジューリングのコツを身につけて、仕事の効率が上がったという実感をもってくれている。

 「Under the Table」とは文字通り机の下にタスクを落として、その期間にはやらないと判断することだ。実は意外に、やらなくてもよい仕事がタスクリストに混ざっているものだ。日本のビジネスパーソンは、何でも自分でやろうとする傾向があるので、自然体でスケジューリングすると、過度に抱え込みがちになり、逆に業務効率が落ちてしまう。

 「Waiting」とは、相手に業務を依頼したり、相手が業務を完了したりするのを待って、その後に自分が行う業務を峻別するというものだ。業務の重複があったり、相手の業務完了を待たずに自分も業務を実施してしまったりすることがあるので、その後、調整の手間が必要になることが多いものだ。

 肝心なことは、自らアクションしなければならないタスクからスケジューリングするのではなく、「Under the Table」の業務、「Waiting」の業務を峻別した残りを、自分が「Action」する業務として位置付けるということだ。マルチタスク管理にも発想の転換が役に立つ。

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【用語解説】山口博

 やまぐち・ひろし モチベーションファクター代表取締役、慶大卒。サンパウロ大留学。第一生命保険、PwC、KPMGなどを経て、2017年モチベーションファクターを設立。横浜国立大学非常勤講師。著書に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社)。長野県出身。