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医療機器ビジネス、始め方は 多くの参入障壁、産学連携で解決を (2/2ページ)

 大学病院では医療行為だけでなく、医療現場で将来活用される先端技術のシーズを研究開発しており、製品として実装することで強い差別化要素となり得る。また、大学病院での基礎研究で得られた成果を新しい医療技術として確立することを目的とする「橋渡し研究」に関する専門部署がある。これは「トランスレーショナルリサーチ」と呼ばれ、法規制にもノウハウの蓄積がある。さらに、医師と共同で研究開発を実施するため、ニーズのヒアリングや開発プロセスからフィードバックを得ることもでき、最適のマーケティング体制を構築することができる。

 産学連携は企業だけにメリットがあるわけではない。大学や大学病院は事業の主体となることはできない。医師、研究者が長い時間をかけて生み出した研究成果も企業とタッグを組み、製品やサービスとしてリリースされなければ、医療現場には届かない。

 新しい研究に取り組むためにも原資が必要である。共同研究の成果が企業を通じて収益を生み、その一部が大学病院に還元されるからこそ、次の先進的な研究を始めることができる。

 当社は大学病院と共同でいくつかの製品を開発してきた。この連載では、大学病院と共同研究を進め、事業を開発する手法を紹介する。

【プロフィル】高橋遼平

 たかはし・りょうへい 京大経卒。東工大環境・社会理工学院修了。工学博士。2012年三菱商事入社。15年10月医療系ITスタートアップのKompathを設立し、共同創業者兼代表取締役CEO。大学付属病院と共同で医用画像処理アプリケーション開発に取り組む。30歳。東京都出身。

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