「無理が出ている」 日産、現場に負担…負の遺産清算になお時間

 日産自動車で新たな検査不正が発覚し、規律の緩みが止まらない生産現場の実態が浮き彫りとなった。カルロス・ゴーン容疑者が経営を握って19年。高い目標と費用の削減で現場に負担を強いてきた「負の遺産」の清算には時間がかかりそうだ。

 「現場に無理が出ている」と追浜工場(神奈川県横須賀市)の従業員はこぼす。9月に公表された弁護士らの調査結果によると、日産は2003年ごろから海外に工場を新設し、熟練技術員も派遣した。しかし総人員は補充しなかった。

 慢性的な人手不足の中で規範意識が薄れ、ごまかしや手抜きが常態化していった。「他の業務を兼任しており、ゆとりをもって測定業務に従事できない」と話す検査員もいた。

 この間、ゴーン容疑者は高額報酬を受け取り、自身の能力からすれば「適切だ」と正当化していたが、実際には現場管理を怠ることで消費者を裏切っていた。周囲もそれを許容してきた。

 日産は昨年9月に新車の無資格検査問題を公表し、その後も次々と不正が明るみに出た。1年以上かかっても現場の改善にはつながらなかったようだ。

 西川広人社長はゴーン容疑者が逮捕された11月19日の記者会見で、ゴーン体制の「負の側面を修正する」と述べた。ただ検察当局に協力する形でゴーン容疑者の「排除」には成功したが、不正はやんでいない。残った経営陣も責任を免れようがないのは明らかだ。