【お茶で日本を温かく(2)】高校時代から自然農法 健一自然農園代表、伊川健一さん (1/2ページ)

19歳で自然農園を始めた伊川健一さん。最初は野菜の販売が事業の中心だった(渡辺恭晃撮影)
19歳で自然農園を始めた伊川健一さん。最初は野菜の販売が事業の中心だった(渡辺恭晃撮影)【拡大】

 19歳のとき、奈良で自然農園を始めた伊川健一さん(37)。テレビのドキュメンタリーで自然農法を知り、高校時代から、農業を体験していた。(聞き手・安田奈緒美)

 --お茶の木にかれんな花が咲いていますね

 伊川 今年は12月になっても暖かいので、まだ花が残っています。葉に養分を行き渡らせるため、つぼみを摘み取る茶畑も多く、「お茶の花を見たことがない」という人も多いのですが、もったいない。ツバキ科に属していて、小ぶりですが、ツバキの花に似た鮮やかな黄色のおしべとめしべを持ち、香りもさわやか。花や実のエキスも、化粧品の原材料として出荷しています。お茶の木には無駄になるところがありません。

 --19歳で茶畑を借りて自然農園を始めました。農業に目覚めたきっかけは

 伊川 奈良県大和郡山市に生まれ育ちました。両親はレストランを経営しており、サラリーマンや近くの工場に働く人が通ってくれました。ただ、バブルが崩壊したころでしょうか、訪れるお客さんたちの表情が暗く沈んで、しんどい顔つきになったんです。大人たちが疲れている。子供心に、経済成長を求め続けてきた社会に問題意識を感じていたとき、テレビのドキュメンタリーで自然農法について知りました。農業を通じて環境問題といった社会の課題を解決しようとする取り組みに興味を持ちました。

 --農業を始めたのは

 伊川 奈良県内の高校に通っていたころ、週末を利用して、奈良県と三重県の県境近くにある「赤目自然農塾」で農業を学び始めました。ここで行われていたのは、「耕さず、肥料と農薬を用いず、草や虫を敵にしない」という自然の営みに沿った農法です。自ら必要なものを過不足なく作っていく。そういった農を学びました。家の近くにも畑を借りて、肥料や農薬を使わない栽培法で野菜を作り始めました。

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