【経済インサイド】目標1千億円、東京五輪も見据える「AI審判」 富士通の勝算は (2/3ページ)

国際体操連盟の渡辺守成会長(右)と富士通の田中達也社長=11月20日午後、東京都港区(桐山弘太撮影)
国際体操連盟の渡辺守成会長(右)と富士通の田中達也社長=11月20日午後、東京都港区(桐山弘太撮影)【拡大】

  • 国際体操連盟と富士通が公開した体操競技の採点支援システム=20日午後、東京都港区(桐山弘太撮影)
  • 国際体操連盟と富士通が公開した体操競技の採点支援システム=11月20日午後、東京都港区(桐山弘太撮影)

 まず第一に、判定の正確性の向上。ひねりの回転数や倒立の角度など、選手の身体の動きを客観的な数値データに変換するため、採点競技に付き物の「審判の公平性」という課題が解消される。高速で高度に進化した各種の技も容易に見極められるようになり、「100メートル走と同様の明確な判定」(渡辺会長)が導かれる。

 また判定の効率化やスピードアップも期待される。

 体操競技は審判団、リファレンス審判、スーペリア審判と役割の異なる審判員が判定内容を確認し合うなどするため、選手200人の大会に100人を超える審判員が必要とされ、時間も要する。だが、採点支援システムを使えば「たとえば2時間半かかる競技時間を、世界のスポーツ界で標準的な1時間半まで短縮できるだろう」(渡辺会長)という。

 大会だけでなく、トレーニングにも活用することで競技レベルの向上が期待される。

 エンターテインメント性も

 観客にとっては、エンターテインメント性がぐっと高まるだろう。3次元データがテレビ中継用のコンテンツとして提供されれば、瞬間ごとの選手の身体の動きや角度が視聴者に一目瞭然となる。富士通はその配信料も当て込んでいるため、「10年間で累計1千億円」と弾くそろばんも決して絵空事とはいえない。

 現時点で同システムが対応できる競技種目は、全10種目のうち男子のあん馬・吊り輪・跳馬、女子の跳馬・平均台。東京五輪では、この5種目の採点支援に用いられる。

 ただ、まだ対応できない段違い平行棒や鉄棒は選手と補助者の3次元データを区別する難しさがあり、床運動も広い範囲を動き回る選手の動きを捉えることが今後の開発課題という。

 国際体操連盟は、同システムを2020年までに競技人口が多い30カ国へ広げたい考え。24年には全10種目に対応させ、加盟146カ国への拡大を目指す。

 渡辺会長によると、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長も「他の競技にも活用を広げ、スポーツ界全体の発展につなげてほしい」と期待しているという。

富士通復活の試金石