【ゴーン事件・識者に聞く】冨山和彦氏「第一の受益者は一般株主」 (1/3ページ)

インタビューに応じる経営共創基盤の冨山和彦代表取締役CEO=14日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)
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  • インタビューに応じる冨山和彦代表取締役CEO=14日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)
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 日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)の報酬過少記載事件は世界に波紋を広げている。日本を代表する企業でコーポレートガバナンス(企業統治)が機能せず、カリスマと称されたトップの暴走に至ったのはなぜか。日産をめぐる問題点や今後の焦点を「ガバナンス」「経営戦略」「役員報酬」の3つのテーマに沿って、有識者に見方を聞いた。

  --日産のガバナンスの一番の問題点は何か

 「すべてをカルロス・ゴーン容疑者に依存するガバナンス構造だ。ゴーン容疑者という経営上の最高権者を監督するのが本来のガバナンス。しかし経営者を監督する立場の取締役は大株主のルノーが選んでおり、そのトップはゴーン容疑者自身だ。要は自分の監督者を自分自身で選ぶ、終身独裁官みたいな立場になっていた」

 --経営トップの暴走を阻止する仕組みがなかった

 「自動車のようにグローバルで激しい競争をしている産業では、強烈なアクセルを踏める権力者をつくることは大事だ。だからこそ強いブレーキを踏んで権力者を統制できるようにするのがガバナンスの役割。日産の取締役会は事実上トップの選解任権を持っていなかったが、それではガバナンスにならない。選解任権を持つことがガバナンスが機能するための絶対条件だ」

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