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プロ野球選手、引退後は「サラリーマン」 球界の新たな潮流に注目 (3/3ページ)

 そう語るのは建設業で成功した元巨人の阿野鉱二さん。阿野さんは早稲田大学から1969年のドラフト2位で読売巨人軍に入団。大型捕手と期待されたが、腹膜炎の手術などで選手での活躍は短く、むしろバッテリー、トレーニングコーチとして長嶋、藤田、王監督時代を支えたことで知られる。

 企業の期待は突破力

 阿野さんは44歳で退団後、知人の紹介で入社した会社を経て主に鉄骨を扱う株式会社スチールエンジを設立。社長として営業の先頭に立ち、同社を年商100億円の企業に育てた。社長を巨人の後輩、松谷竜二郎氏に譲った後は会長、今は相談役を務める。阿野さんはいう。

 「プロ野球選手に限らず、スポーツ選手は突破力がある。勝つために何をすればいいのか作戦(企画)を考え、練り上げていく力がある。何より、チームの中で何をすればいいのか役割を考えて働く能力がある。スポーツで培った力を信じてがんばれば、道は開けると思う」

 今、スポーツ選手採用に積極的な企業の期待は、阿野さんの語る資質によるものと思われる。一方、若い選手たちはアンケートでこんな答えも残した。引退後の不安がある61.9%。不安な要素(複数回答)としては(1)収入面73.7%(2)進路67.9%(3)「やりがい」の喪失8.3%(4)世間体2.6%。彼らの不安を少しでも減らし、セカンドキャリアが実現できるよう、さらなる環境の整備が求められる。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)

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