ローカリゼーションマップ

欧州で「高級パンツ」の確立を! “場違い”に挑戦する日本の下着メーカー (3/3ページ)

安西洋之

 ただ、ひとつ懸念がある。

 各国の人たちのローカル志向だ。いわゆる貿易保護主義といったレベルのことではないが、心情的に自国製品への共感度があがっている。

 「フランスのバイヤーから言われたのですが、20年くらい前だったら、世界各国の良いものを集めてくればバイヤーとして自慢ができたというのです。しかし、今は違う。同じようなものを扱うのなら、自国製品に共感を覚え、それらを応援したい、と話すのですね」と、枡野さんは世界の潮流が変わりつつあることを実感する。

 英国製が好きだからといって、服の全てを英国製に統一するのに全神経を注ぐ人もそういないが、売り場でふと目にした原産地表示にまったく無関心ではいられなくなった人がじょじょに増えている、といったことのようだ。

 「私たちは、各国にいるニッチなファンを相手にしていく方針なので、そうした大きなトレンドとは少々距離があるとは思うのですが…」と、今後の動向に敏感であろうとする。

 高校の時に国連の事務総長になりたい、との夢をもっていた好奇心強い人らしい関心の持ち方だ。これから、きっとこうした素養がもっと生きるだろう。

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【プロフィール】安西洋之(あんざい・ひろゆき)

安西洋之(あんざい・ひろゆき)モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

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