【リーダーの素顔】飛島建設社長・乗京正弘さん 土木・建築を核に事業領域拡大へ


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 創業135年の飛島建設は、本業である土木・建築の建設業の未来を見据え、事業の多角化にかじを切った。そのためにM&A(企業の合併・買収)を駆使し、本業を核にその「隣地」を攻める。一方で、環境問題の解決や働き方改革などESG(環境・社会・企業統治)経営も推進する。「経営が安定し長く続くのが会社の使命」と乗京正弘社長は「飛島(トビシマ)」への企業改革に陣頭指揮をとる。

 --2017年度から3カ年の中期経営計画が折り返し点を迎えた

 「持続的成長に向けた事業構造改革の推進を基本方針に据え、基盤事業のポートフォリオ改革で業容拡大によらない収益力の維持向上、新事業の創造と事業の多角化などに乗り出した。その進捗(しんちょく)状況を確認するため四半期に1度、全国の支店を回っているが、初年度は順調に進んだ。課題として認識している顧客を増やすことも、営業担当だけでなく誰もがあいさつ回りなど外回りに行っており、身についてきた。現状では手応えを感じている」

 --事業の多角化については

 「売り上げの7割、利益の6割を土木を中心とする公共投資に依存している。強みであるが、時として弱みにもなる。土木・建築は景気の波があるからだ。顧客を増やすことで仕事の途切れをなくし、核となる本業を強化。その間に事業領域を広げたい。本業の技術やノウハウを生かせる『隣地』を探し、そのエリアで強い企業と組む。足りないところを補ってくれる企業を調べて『一緒にやりませんか』と呼びかけている」

 --M&Aの成果は

 「千葉市に本社を置く総合建設会社、杉田建設興業を17年7月に子会社化した。千葉市のほか、東京都小笠原村(父島・母島)でのインフラ整備工事に強いため新たな事業の広がりをもてると判断、後継者がいないこともあってM&Aでグループに入れた。18年2月には、水に関する問題解決企業、ノダック(大阪府豊中市)をグループに加えた。水中ロボットや水上施工機械を使って水質環境保全事業を展開しており、環境負荷低減事業への拡充につながると考えた。このように環境問題対応だけでなく、社会課題や企業統治などESG経営にも注力。SDGs(持続可能な開発目標)も意識している」

 --社員の名刺には「防災のトビシマ」と書かれている

 「防災は強く意識している。建設事業で培った技術・ノウハウを防災分野に展開、安全・安心な社会づくりに貢献していく。その一環として防災備蓄サービスに乗り出した。非常食を日常時に販売しながら地震時に無料で提供する宅配ロッカー『イーパルボックス』を宅配ロッカー大手のフルタイムシステム(東京都千代田区)などと共同開発した」

 --働き方改革への取り組みは

 「あいさつの機会があれば、働き方改革の推進について話している。柔軟な働き方による労働時間短縮と生産性向上を目指し、在宅勤務を18年10月から導入したほか、フレックスタイム勤務を19年2月から本格運用。さらに同7月から65歳定年制に移行する。豊富な経験と高いスキルを持つシニア人材を生かすためだ。また4週8休(土曜閉所・週休2日)を21年度に実現する」(松岡健夫)

【プロフィル】乗京正弘

 のりきょう・まさひろ 京都大大学院工学研究科交通土木工学専攻修士課程修了。1980年飛島建設入社。2012年取締役兼執行役員建設事業本部副本部長、14年同兼常務執行役員建設事業本部長、15年同兼専務執行役員土木事業本部長、16年同兼執行役員副社長。17年6月から現職。大阪府出身。63歳。

 ≪DATA≫

 【俊足】中学3年のとき、100メートルハードルで、その年の中学生で一番早い記録を出した。大学から始めたアメリカンフットボールでは、走力を買われてオフェンス(攻撃)チームでパスを受け取るワイドレシーバーとして活躍。「パスを回してくれる人、その人を敵のタックルから守る人など10人のメンバーが動いて、ようやく私にチャンスが回ってきます。そのボールを落とすわけにはいきません」。京大はランニング攻撃を得意としており、1試合に4、5回しか回ってこないパスに全神経を集中。その甲斐あって3年生時の1976年に関西学生リーグで初優勝(関西学院大と同率優勝)に貢献した。

 【運動会】11月10日に東京・豊島園で約20年ぶりに開催。社員とその家族あわせて約500人が参加した。「不祥事などの問題が起きるのはコミュニケーションが足りないから。運動会を復活させたのもこのため」という。ただ、ケガを心配する周囲の要請を受け、自慢の足を見せることはなかったという。