高齢者や若者が悪徳商法の食い物に… 2018年の経営問題ニュースを振り返る(後編) (4/5ページ)

ケフィア事業振興会の「公示書」をみる高齢者
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◆上場企業の不適切会計は依然として高水準

 2018年の上場企業の「不適切会計」は、1月1日~11月16日で40社を超えた。2017年(53社)を下回るが、高水準であることに変わりはない。

 2018年1月に不適切会計を開示した愛知県三河地域を地盤とする中堅食品スーパーのドミー(愛知県)は、3月27日付で上場廃止となった。ドミーは2018年1月、店舗の固定資産の減損処理方法で仕入先からのリベートや協賛金を不適切に傾斜配賦していた不正会計の疑いが発覚した。

 第三者委員会の調査でも全容が判明せず、新たに減損懸念のある店舖で損益操作による不正なども判明。2018年5月期第2四半期(2017年6~11月期)報告書が提出できなくなった。不正会計による突然の上場廃止で、ドミーの株主や取引先、社員などステークホルダーに動揺が走った。

 不適切会計が増えている背景の一つに、上場企業の増加がある。上場企業は2008年度から2017年度までの10年間で約1200社増えた。さらに、経営側に時価会計や連結会計など厳格な会計知識が欠如し、現場も知識不足で適切な対応をできず会計処理を誤る事例が散見される。

 事業のグローバル化にガバナンスが機能せず、体制整備が追い付かない企業個々の問題でもあるが、急速な会計処理の高度化、専門知識を備えた現場の人手不足も指摘される。こうした根本的な問題を解決しない限り、今後も不適切会計が減ることは考えにくい。

 不適切会計が発覚すると、信用失墜に加え、過去に遡る決算訂正、第三者委員会の設置など業務への悪影響は計り知れない。株主や取引先の眼差しが厳しくなり、信頼を取り戻すには多くの時間が必要になる。不適切会計を生み出さない体制構築がどの企業も求められている。

◆高まる企業リスク、倒産は底打ちから増勢へ

 2018年の企業倒産は、1-10月累計で6895件(前年同期比1.9%減)、負債総額は1兆2823億9800万円(同51.1%減)だった。年間では2017年(8405件)に続き4年連続の8000件台で、バブル期の1990年(6468件)に次ぐ低水準が見込まれる。

 企業倒産は一進一退を繰り返している。だが、後半の減少幅は微減で、底打ちから増加に転じる兆しを示した。

迫りくる増税