屋台から賽銭までスマホ決済 福岡陣取り合戦 ITや地銀挑む (2/2ページ)

屋台が軒を連ねる博多・中洲を歩く人々(ブルームバーグ)
屋台が軒を連ねる博多・中洲を歩く人々(ブルームバーグ)【拡大】

 福岡銀の柴戸隆成頭取は「銀行の収益は厳しいが、何もしないとさらに厳しくなる」と話す。IT企業が繰り広げる陣取り合戦を「誰が勝つのか観客席で見極めるのもありかもしれないが、自ら取り組まないと戦況は見えない。われわれはグラウンドに出て参加する」と意気込む。

 乗り遅れはリスク大

 博多湾の人工島アイランドシティを対岸に臨む「妙法寺福岡分院」。禅を通じ外国人と積極的に交流する院代の清水日勢さん(52)は、台湾からの観光客にキャッシュレスで賽銭を払えないのか、と聞かれたことをきっかけに、オプションで中国アリババグループの決済アプリ「アリペイ」も使えるよかペイを導入した。

 水郷・柳川の名物ウナギせいろ蒸しの「御花」も採用しており、藩主立花氏の18代目当主、立花千月香社長(47)は「クレジットカードは手数料が高いし、少額決済だと事務も煩雑なのに対し、QRコード決済はずっと楽」と話す。

 学問の神様、菅原道真公を祭る太宰府天満宮は、中国はじめアジアからの旅行者であふれている。参道の一角にある土産屋「ふく富」もよかペイを導入したが、利用が多いのはアリペイ。篠原久美子店長(63)は、昨年11月の売り上げの半分近くが外国人で、クルーズ船の寄港情報をチェックし店員の人繰りを調整しているという。

 キャッシュレス決済の比率が2割程度と他の主要国に比べ低い日本。日本銀行の超金融緩和の下で低収益にあえぐ金融機関にとって、キャッシュレス化に乗り遅れれば、顧客の決済情報という経営資源まで異業種企業に握られるリスクがある。日銀が昨年11月末に開いたフィンテック・フォーラムで、木村武決済機構局長は「日本の金融機関は決済サービスから十分な対価を得ていない」との現状認識を示した。

 福岡銀の柴戸頭取が「戦況は混沌(こんとん)としている」と語るように、利用者や加盟店の囲い込み競争は激しさを増している。フォーラムに参加した横浜銀の島山幸晴総合企画部担当部長は「正直、決済はもうかるのかと日々言われている」とこぼす。LINE Payの池田憲彦プロダクト室室長も「今はコスト先行で使っていただく時期だと思っているので、収益性は本当に厳しい」と明かす。

 メガバンクや全国の地方銀行が連携し、今年10月にQRコード決済を試験的に始めると報じられており、先行する福岡銀も合流を視野に入れている。難航した十八銀行との統合計画も昨年8月にようやく承認された。さらなる経営統合も「志を同じくするのであればやぶさかではない」と語る柴戸頭取。QRコード決済での連携が合従連衡につながる可能性に「われわれとしてはそういうものを目指している」と語った。(ブルームバーグ Masahiro Hidaka、Yuko Takeo)