【2019 成長への展望】住友商事社長・兵頭誠之さん(59)


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 ■オープンイノベーションの展開加速

 --デジタル化への対応は

 「米シリコンバレーとロンドン、香港の世界3極にスタートアップ企業への投資の拠点を作り、一定の投資決定の権限も委譲し、協業を探っている。一方で社内6部門間の連携も図る。次世代の新ビジネスモデル開発と既存事業の価値向上は重なる部分が多く、社内外のオープンイノベーションをつなぐことが重要だ」

 --具体的な取り組みは

 「国内で農業用ドローン(小型無人機)のナイルワークスと精密農業をスタートさせ、海外にも展開したい。ルーマニアも農業の潜在力がある。農薬や肥料などの農業資材の合弁会社を通じ生産効率を上げれば、有望な穀倉地帯になる。オートリース事業も、昼間や週末に稼働していない車を使いたい人に仲介し、需要と供給をデジタルでマッチングすれば新たな価値が生まれる。電力も使いたい人と分散化電源などをつなぐエネルギーマネジメントが収益源になる」

 --次の成長分野に社会インフラを掲げる

 「ベトナム・北ハノイの複合都市開発が動き出した。不動産とインフラ部隊の混合チームで、米ヒューストンの宅地開発モデルをベトナム流に仕立て直したり、顔認証のセキュリティー技術を使ったりしたサービスを提供するスマートシティーを計画する」

 --国内の社会インフラは

 「昨年末の改正水道法成立で水道事業も参入を探りたい。ブラジルと英国での水道事業のノウハウも生かせる。ドイツでは、自治体とユーザーなどが電力や水道を共同で運営する仕組みがあり、日本版に期待している。空港運営にも参画したい。アジアからのインバウンド(訪日客)誘致や空港を起点にした事業に広がりがあり、当社らしい展開で地域発展に貢献したい」

 --自動車の世界も変貌している

 「EV(電気自動車)化が進み、自動運転やシェアリング(共同保有)の変化も取り込む。車の稼働率が上がるため、絶対に必要なブレーキや駆動力を伝える特殊金属、バッテリーの需要は拡大する。これを見越し、インドの特殊金属事業に参画し、マダガスカルのアンバトビーのニッケル鉱山開発も長期の視点でやるべき事業と再認識している」

 --人材をどう育成する

 「昨年から、失敗しても学びを生かし、チャレンジすることを評価する人事制度を導入した。所属する部門の枠組みを超え、全世界で新規事業を提案できる社内起業制度も開始した。340件が集まり、実際に投資するため、社外審査も入れて検討している」

【プロフィル】兵頭誠之

 ひょうどう・まさゆき 京大院修了。1984年住友商事入社。執行役員、常務執行役員、専務執行役員環境・インフラ事業部門長を経て2018年4月から現職。愛媛県出身。