【2019 成長への展望】鹿島社長・押味至一さん(69)


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 ■ロボット導入でスマート生産を推進

 --2019年の国内の市場環境見通しは

 「堅調に推移するのではと予測している。20年度に800億円以上の最終利益を目指す中期経営計画を策定したが、初年度に当たる18年度はいい形でスタートを切った。19年は中計を確実に達成するに当たっての重要な年だと認識している。一方で、20年以降に施工が本格化する案件が多いこともあって19年は受注競争が激しさを増すのは必至だが、これまでの勢いを持続して競争に臨みたい」

 --経営課題は

 「生産性の向上を図ることによって、担い手不足を解消することだ。そこをしっかりとやれなければ、われわれの将来がないといった気持ちで取り組んでいる。鍵を握るのが、情報通信技術(ICT)を活用したロボットの導入によるスマート生産の推進だ。土木については、一つのサイクルを常に繰り返し行うので自動化しやすい。徹底して挑戦しようということをテーマに掲げている。一方、建築は人が介在する領域が大きい。技術の伝承をきちんと行っていく必要があるため、若い人たちに建築の魅力をアピールできる場を設置することも検討している」

 --具体的な案は

 「当社は支店単位で協力会社を抱えており、若年層がそうした会社の門をたたくことを切望している。それには、工業高校や高専の学生に『現場ではこんなことに取り組んでいるのです』といったことを見てもらうのが重要。塗装やボードの貼り付けといった領域の講師を配置し技能を伝授することにより、『建設業はこんな仕事をしているんだ』ということを体験できる場所を用意してあげたい。次世代の担い手確保に向けた取り組みは次の中計の骨格となる」

 --海外戦略の方向性は

 「国内は少子高齢化が進展するので長い目で見れば、受注高が膨張するとは考えにくい。利益を計上するには海外投資によるリターンがなければ厳しい。中計では海外開発に合計で2400億円を投資する方針を掲げ、18年度はシンガポールやミャンマーで大型プロジェクトが本格稼働したが、19年も確実に遂行していく。結果として次期中計の利益の幅を広げることにつながることになる。また、海外での受注体制を強化するには、現地での研究開発体制を拡充する必要がある。その一環としてアジアでデジタル戦略を推進するため、シンガポールにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の拠点を開設するなど、目玉となる新たな施策を検討している」

【プロフィル】押味至一

 おしみ・よしかず 東京工大工卒。1974年鹿島入社。2005年執行役員。常務執行役員、専務執行役員、副社長執行役員を経て15年6月から現職。横浜市出身。