アップル不振、日本企業直撃 アイフォーン部品供給にブレーキ

中国・北京市内にある米アップル店舗=12日(ブルームバーグ)
中国・北京市内にある米アップル店舗=12日(ブルームバーグ)【拡大】

 米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売が振るわない。中国の景気減速が主因だが、中国以外での高価格化による買い控えも影響しているもようだ。部品を供給する日本企業が“アップル・ショック”に見舞われる可能性が出てきた。

 ◆高価格化で買い控え

 アップルは2018年10~12月期の業績予想を下方修正し、売上高が前年同期比5%減の約840億ドル(約9兆円)にとどまると今月2日に発表した。売上高が前年同期を下回るのは9四半期ぶり。主力製品のアイフォーンの販売が不振だった。新型3機種の生産台数を1~3月に当初計画から10%程度減らすことも明らかになっている。

 ティム・クック最高経営責任者(CEO)は株主への手紙で「中華圏(中国と台湾)で、これほどの減速を予想していなかった」と説明。米中貿易摩擦が中国景気の下押し要因になっていると指摘した。

 新型アイフォーンの価格は最高で約19万円もする。高級路線に戦略を移した結果だが、最新のスマホの世界シェア(昨年7~9月)は中国の華為技術(ファーウェイ)に2期連続で抜かれている。「価格が高く、現行の機種を使い続けるなど買い替えが進んでいない」(携帯販売店)との声が日本でも上がる。

 NTTドコモはてこ入れ策として、昨年10月に発売した「アイフォーンXR(テンアール)」の新規契約と他社からの乗り換え利用者を対象に購入代金を8424円割り引く「iPhoneデビュー割」を実施している。

 減産が長引けば、影響は日本の部品メーカーにも及ぶ。TDKや村田製作所、アルプスアルパイン(旧アルプス電気)などは販売先の分散化に注力してきた。ただ、楽天証券経済研究所の今中能夫(やすお)チーフアナリストは「高価格のアイフォーンは部品を高い値段で納めることができる。部品メーカーは需要が安定的な自動車向けを増やしているが、アップル向けの減少は経営に打撃」と分析する。

 ジャパンディスプレイ(JDI)は2年前にアイフォーンの販売減速で、事業環境が悪化。取引銀行から超短期の融資を受けざるを得なくなった経緯もある。

 ◆落ち込む設備投資

 「景気の先行指標」といわれる工作機械の受注には既に変化が出ている。日本工作機械工業会によると、昨年の受注実績は過去最高の1兆8000億円の見込みだが、今月9日に公表した今年の受注見通しは1兆6000億円に減少する。中国での設備投資に急ブレーキがかかっており、アップルの不振がその理由ともいわれている。飯村幸生会長は「受注環境は潮目が変わった」と話す。

 影響は日本企業にとどまらない。韓国でも、サムスン電子の18年10~12月期連結決算(暫定集計)の営業利益が7~9月期に比べ38.5%減の10兆8000億ウォン(約1兆円)に落ち込んだ。

 証券業界では「アップル・ショックの影響だ」との見方が広がる。シャープを傘下に持つ鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)は昨年秋以降、10万人規模の人員削減を実施しているとみられる。

 ただ、アップルはこれまでにも「ヒット商品不在」「成長鈍化」などと先行きを不安視する声が上がっては、それをはね返してきた。今回もアップルの商品力が試されているといえそうだ。