仏、日産・ルノー統合を要求 対抗策は未知数…日本側苦戦も

 フランス政府が同国自動車大手ルノーと日産自動車の経営統合を日本政府に求めた背景には、名門ルノーを強化し経済の牽引(けんいん)役を担わせることで、マクロン政権にデモ抗議を続ける国民の不満を和らげる狙いがありそうだ。かつては両社統合論の防波堤役ともなった日産の前会長、カルロス・ゴーン被告は不在で、日産と日本政府は苦戦も予想される。

 ルノーにとって日産は欠かせない存在だ。2017年12月期の最終利益51億1400万ユーロ(約6380億円)のうち約半分を日産が稼ぎ貢献した。フランス国内に抱える約4万8000人の従業員の雇用維持も日産が頼り。16年からフランス北部のルノー工場で日産の小型車を生産しており、19年半ばから別の工場でも日産車を製造する計画だ。

 ルノーの筆頭株主はフランス政府で、マクロン大統領はオランド前政権で経済相を務めていた15年に、日産への経営干渉を強めようとした。この時は、日産社長だったゴーン被告が日産・ルノーの企業連合を維持するため調整役に回り、干渉を食い止めた。

 ところがゴーン被告には、18年2月にルノーの最高経営責任者(CEO)に再任された際「企業連合を後戻りできないようにするため、決定的な策を講じる」との任務が課せられた。フランス政府の意向が背景にあったとみられる。

 日産幹部は、ゴーン被告が18年内にも統合に向けた協議を本格化させるとの情報を受け、不正の調査と捜査当局との協力を急いだという。日産はルノー株を15%しか持たず、議決権もない。ただ出資比率を25%以上に引き上げればルノーの議決権が消え、ルノーによる出資が現在の43.4%から40%未満に下がれば日産に議決権が生じる。

 日産は15年の取り決めで、ルノー側から不当介入があればルノー株を買い増せる権利を確保した。だがルノーにもにらみを利かせられるゴーン被告を失脚させ、資本関係で圧倒的に立場が強いルノーに「伝家の宝刀」(日産幹部)を抜けるかは未知数だ。

 日本にとっても自動車は基幹産業で「国益」がかかっている。しかし日本政府は日産の株主ではなく「できることは限られる」(経済産業省幹部)のが実情だ。金融関係者も「ウルトラCの対策が必要だ」と強い危機感を示した。