原発商戦、「安全性」決め手にならず 中露台頭、主役交代鮮明に (1/2ページ)

世界の主な原発利用・開発状況
世界の主な原発利用・開発状況【拡大】

 日立製作所による英国での原発新設計画の凍結は、世界の原発商戦の主役交代を鮮明にした。安倍政権は東京電力福島第1原発事故後に強化した安全対策を理由に「世界一の安全性」をうたい文句にしたが頓挫し、米国やフランスも安全性と経済合理性を両立できず苦戦。一方、ロシアや中国は国を挙げての売り込みで競争力を増しており、安全性を強調するだけでは原発が売れない時代が到来している。

経産相は輸出推進も

 「原発事故を経験した日本の安全技術で世界に貢献できる」。日立が計画凍結を発表した翌18日、世耕弘成経済産業相は記者会見で、引き続き「安全性」をセールスポイントに原発輸出を推進する姿勢を明確にした。

 日立が英国に新設を計画したのは「改良型沸騰水型軽水炉」と呼ばれる原発だ。安全性を向上させたという日立の主力製品で、既に導入した東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)、中部電力浜岡原発5号機(静岡県)など稼働実績がある。

 建設と稼働の豊富な実績が売りだったが、第1原発事故後の安全対策費の急増などで、英国で計画していた原発2基は事業費が当初の1.5倍の3兆円となり頓挫した。

 日立は事業費増の詳細を明らかにしていないが、ある電力関係者は「英国では約20年間、原発が新設されず、現地企業の原発建設の経験が乏しいことも背景にあるのではないか」と指摘する。

 日本勢が受注したリトアニアでは凍結、ベトナムでも経済合理性などを理由に計画が撤回された。三菱重工業もトルコの計画を断念する方向だ。

 米国では、東芝の子会社だった原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が最新型原発を開発し、インドなどに売り込んできた。外部電源を失っても冷却できる安全性を売りにしたが、WHが米国内での原発建設遅延により経営破綻。東芝は海外の原発事業から撤退した。

仏社は経営破綻