【2019 成長への展望】大成建設社長・村田誉之さん(64)


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 ■海外受注伸ばし利益計上体質目指す

 --2019年の市場見通しは

 「現在の需給バランスの環境はよく、そんなに変化はないと認識している。20年東京五輪以降の市況を懸念する意見もあるが、私の見立てだと2、3年ぐらいは現在の環境が続くと思っている。労務費などのコストは緩やかな上昇基調をたどっており、そんなに大きなリスク要因ではない」

 --足元の経営課題は

 「当社は社員の数がそれほど多くないのが特徴。こうした環境下で規模を拡大するには、生産・品質管理の強化を推進していかなければならない。そのためには専門工事業者の能力をもっと引き出す必要がある。その会社を育てることも重要。話を聞くことによってIoT(モノのインターネット)やロボットなどに関する、技術開発のアイデアが生まれるかもしれない。社内的には外勤社員の繁忙度が増しているため、外勤の仕事を内勤社員がフォローしていくことも課題だ」

 --18年度からスタートした中期経営計画の2年目を迎える

 「最終年度の20年度に売上高1兆8700億円という目標を掲げているが、中長期的には2兆円を目指したい。それに向けて本体だけでなくグループ各社が規模を追求することが19年度の宿題だ。結果として各業界内でのステータス向上につながる。もう一つの重点課題が海外の受注売り上げを伸ばしていくこと。国内の建設市場が順調に拡大し続けていくとは限らないからだ。これまでは海外市場に消極的だったが、利益を計上できる体質にしていきたい。エネルギー・環境や都市開発、リニューアル分野などに向けた成長投資は中計期間中に3000億円を予定しているが、できるところからやっていく」

 --海外市場はどういった形で攻勢をかけるのか

 「東南アジアでは仕事の内容が、従来の工場からサービスアパートメント、ショッピングセンターなどの建設へと変わりつつある。とくに高級物件の開発については、われわれの力が発揮できると自負している。進出先の地元企業をあまり活用していなかったが、こうした動きに対応するため、現在はしっかりとした現地のゼネコン(総合建設会社)と組むようにしている。サプライチェーンも現地のものを活用すべきだと考えている。一方、政府のインフラ輸出案件は、グローバルなゼネコンと連携して注力する。また、海外でも都市の再開発需要が顕在化しており、将来的にはエネルギーやPPP(公民連携)案件も有望だ。国内事業で知見を蓄え、対応できるようにしたい」

【プロフィル】村田誉之

 むらた・よしゆき 東大工卒。1977年大成建設入社。2009年大成建設ハウジング社長。11年大成建設執行役員。常務執行役員、取締役常務執行役員を経て15年4月から現職。埼玉県出身。