【2019 成長への展望】東邦ガス社長・冨成義郎さん(62)

東邦ガス冨成義郎社長
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 ■電源確保へ太陽光発電の開発も視野

 --2021年度末までの中期計画で電力契約件数を30万件に倍増する方針を打ち出した

 「18年度は電力販売態勢が整ったのを受けて販売攻勢をかけた結果、下半期以降は相当伸ばしている。年度末には18万件、5億キロワット時を見込んでおり、3年間で30万件、10億キロワット時の目標設定はペースダウンとの見方もあるが、競争環境は厳しく、容易に達成できる目標ではない」

 --自前の電源開発が必要になる

 「現在数社から電気を購入しており、バランス良く調達できているが、中期的には自前の電源を含めて新たな電源確保を検討している。当面は他社との共同、協調での電源開発を考えていくことになると思う。電源確保ではもう一つ、再生可能エネルギーにアプローチしていく。買い取り制度の期限を迎えた家庭用太陽光発電からの電気買い取りや発電所の共同開発を考えている」

 --本業のガス販売も自由化で競争は厳しい

 「ガス自由化から1年10カ月。想定を上回るペースで離脱が続いている。ただ、自由化市場で単なる料金競争をする気はない。エネルギー事業はやはり安定供給と安心の確保が基本。昨年多く発生した自然災害でもエネルギー安定供給の重要性が再認識された。中期計画では『トータルエネルギープロバイダー』として、都市ガス、プロパンガス、電気の最適な組み合わせと周辺サービスによる付加価値を、お客さまに合わせてワンストップでお届けすることを目指すが、その場合もお客さまの安心・安全の確保が大前提となる」

 --需要開拓に向けガス導管延伸に積極的だ

 「導管延伸による工場など大規模需要家の天然ガスへの転換や都市ガス供給エリアの拡大を目指す。知多(愛知県)と安城(同)を結ぶ南部幹線建設に加えて、南知多(同)、岐阜、三重で導管を伸ばす。都市ガスの供給エリアはまだ広がる余地があると考えているし、区域外についてはローリー車供給の広域展開で対応していく」

 --昨年9月に名古屋市港区の工場跡地を再開発したスマートタウン「みなとアクルス」が街開きした

【プロフィル】冨成義郎

 とみなり・よしろう 1981年京大院修了。東邦ガス入社。執行役員企画部長、常務執行役員生産本部長、取締役常務執行役員、同専務執行役員を経て、2016年6月から現職。岐阜県出身。