【遊技産業の視点 Weekly View】「賭博禁止」タイのカジノ事情


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 □シークエンス取締役 LOGOSインテリジェンスフェロー・木村和史

 タイ王国の首都・バンコクは、人口約850万人、周辺都市圏人口まで含めると約1600万人が同エリアに集積している。この人口規模を背景に、東南アジア諸国の金融・経済の中心であるとともに、市内を縦断するチャオプラヤー川周辺に水上都市として拓けた市域は、国家が推進しているインバウンド政策の中心都市として位置づけられている。そんなタイにおけるギャンブル事情だが、タイでは1935年から国内での全ての賭博行為が禁止されており、かかる行為はタイ人のみならず、外国人も厳格な取り締まりの対象となっている。唯一の例外として、競馬は政府公認の合法賭博であり、いわゆる公営ギャンブルとして君臨し続けている。ただし、街中ではさまざまな種類の賭博のようなものが存在する。大掛かりな賭博の代表例としては国技であるムエタイがあり、個人ベースの賭博ではセパタクロー、闘鶏、闘魚、闘虫、トランプなどが繰り広げられている。また、タイでは賭博が例外的に合法になる場合があり、例えばムエタイに関しては、バンコクのどこそこのスタジアムで開催されるものは合法であるなど賭博場ベースで許可が下りているケースがある。闘鶏や闘魚も、地方では専用の賭博場などで許可を取り開催されているケースもあるようだ。一方、小規模な個人ベースの賭博に関しても、当局に1日以内の許可申請を出せば認められるとのことである。これは登録合法性と言うらしい。

 さて、この論理に沿えば、施設があったとしても、設備投資が過大にともなう賭博であるカジノは違法となり、実際にそうなっている。当たり前だが、カジノは手軽に許可申請を得てやる賭博でもないからだ。ちなみにタイ人はカジノで遊ぶ場合、カンボジアのポイペトという国境の町まで行くという。バンコクから陸路で東へ約200キロのポイペトにはカジノホテルが立ち並び、ターゲットをタイ人に絞っているのでタイバーツでも遊べるようだ。なお、タイにもグローバル化の波は押し寄せているが、海外から旅行者を呼ぶためのカジノという発想はまだ出てこない(出てこないかもしれない)。

【プロフィル】木村和史

 きむら・かずし 1970年生まれ。同志社大学経済学部卒。大手シンクタンク勤務時代に遊技業界の調査やコンサルティング、書籍編集に携わる。現在は独立し、雑誌「シークエンス」の取締役を務める傍ら、アジア情勢のリポート執筆など手掛ける。